インドネシアでの医薬用途クレームについての新しい特許審査ガイドライン

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インドネシア特許庁は最近、長く待ち望まれていた医薬用途クレームついて解説する新しい特許審査ガイドラインを発行しました。

インドネシア改正特許法(インドネシア特許法No. 14/2016)第4条(f)では、A)既知の製品の新しい使用、およびまたはB)既知の製品の効果を大きく高めるものではない当該製品の新しい形態は、特許法から除外されています。第4条(f)は既知の化合物の医薬用途クレームのみを禁止するものであるように思われましたが、新規化合物に関する医薬用途クレームが拒絶されることも多々ありました。さらに、医薬用途クレームの形式に関して、審査官の間で整合性が取られていませんでした。

新しい審査ガイドラインでは、新規化合物に関する医薬用途クレーム(第1医薬用途クレーム)は、スイス型形式、目的限定型の製品クレーム(EPC2000)形式、または「病気Yを治療するための化合物Xの使用」の形式で記載しなければならないと記されています。

さらに、第4条(f)に反して、このガイドラインでは、既知の化合物に関する医薬用途クレーム(第2またはそれ以上の医薬用途クレーム)は、目的限定型の製品クレーム(EPC2000)形式で記載することを条件に許可されることが明言されています。ガイドラインによると、このようなレームは製品それ自体に関するものとみなされ、新しい用途(治療対象の病気)は、新規性評価の基準となる制限的あるいは区別的な特徴となります。

重要な点として、このガイドラインでは、新しい用途が特定の病気に関するものであることが義務付けられています。新しい用途に関するクレームが、化合物の作用機序を対象にしている場合、クレームの範囲が広すぎて不明確であるとみなされます。また明細書でも、新しい用途や効果の効率化のサポートを提供する必要があります。こうしたサポートには、臨床実験データ、生体内または生体外の動物実験データ、改善された生物学的利用能、安定性、副作用の低減などを示すデータなどがあります。このようなサポートが明細書にない場合、出願人は、審査官から要求を受けた際に実験データを提供できることが理想的です。

新しい審査ガイドラインは、インドネシアの医薬用途クレームについて長く待ち望まれていた明確な解説を提供しました。ただし、インドネシア特許法は2016年に改正されたばかりであり、新しいガイドラインも最近公開されたものであるため、改正法に従って出願された特許出願の中で、審査が開始されたおよびまたは特許付与されたものはほとんどありません。そのため、インドネシアの裁判所が、このガイドラインに基づいて付与された医薬用途クレームをどのように判断するかについては未知数です。

実務上のメモ:

  • 第1医薬用途クレームは、スイス型形式、目的限定型の製品クレーム(EPC2000)形式、または「病気Yを治療するための化合物Xの使用」の形式で記載する必要があります。
  • 第2医薬用途クレームは、目的限定型の製品クレーム(EPC2000)形式で記載する必要があります。
  • 新しいガイドラインは、第2医薬用途クレームの特許可能性に関して、インドネシア特許法No. 14/2016の第4条(f)と矛盾するように思われます。そのため、第2医薬用途クレームでインドネシア特許が付与されたとしても、侵害訴訟中にインドネシア裁判所がこうしたクレームについてどのように判断するかについては不明です。

この記事は最初に2021年5月6日に英語で公開されました


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