2014年9月25日、シンガポール知的財産庁 (IPOS) は、世界知的所有権機関(WIPO) により特許協力条約PCTにおける国際機関に指定されました。これは、2015年初頭に施行される見込みです。
国際機関として、シンガポールはPCTに出願された特許出願の国際調査及び審査を行う17カ国に加わります。更にシンガポールは、東南アジア諸国連合(ASEAN)においてWIPOに指定された最初の国際機関となります。
この国際的な支持により、シンガポールのASEANにおけるIPハブへの取り組みは疑いなく加速します。また、PCT出願の国際調査および審査にシンガポールを選択することができますので、ASEANに拠点を置くPCT出願人にとってもこれは朗報です。国際予備審査機関IPEAが近くにあり、容易に審査官と面接できるということは、シンガポールや他のASEANの国々を拠点とする出願人がこれまで享受できなかった特許手続きの利点となります。
国際機関指定に加えて、IPOSは3つの更なる特許庁、ドイツ特許商標庁 (DPMA)、ロシア特許庁 (Rospatent) 、 欧州特許庁(EPO)とPPHの合意に至りました。 DPMA-IPOSの合意は2014年10月1日より施行されました。Rospatent-IPOSのPPHは2014年11月1日に施行されます。EPO-IPOSのPPHは2015年1月1日に開始される予定です。PPH合意の増加は、IPOS審査官による調査及び審査の品質の高さの証左となっています。
これらの進展は、弁理士や知財部員が行う、出願人の出願戦略の取り組みを変えるものとなるでしょう。今では、これまで以上にPCTの出願人、とりわけアジアの出願人が、第一国出願の特許庁としてIPOSを利用するインセンティブがあります。ますます広がるPPH合意に加えて、IPOSはシンガポールだけでなく世界中において、潜在的に特許審査手続きにかかる期間を短縮し、費用を下げる道筋を特許出願人に提供しています。