パプアニューギニアの特許手続き

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弊所の業務の大半はオーストラリアとニュージーランドで発生しますが、広域南太平洋地域全体でも重要な業務があります。最近掲載したフィジーの最新情報に続いて、この記事ではオーストラリアと密接な関係がある国、パプアニューギニアに焦点を当てます。

現在の法令

2000年特許および意匠法の採択により、パプアニューギニアは、特許権と意匠権を扱うための強固かつ独立した体制を確立しました。パプアニューギニアはパリ条約の加盟国であり、特許協力条約(PCT)の締結国でもあります。つまり、パリルートによる優先権主張出願と、PCT国内移行出願の両方を行うことができます。

特許庁

パプアニューギニア知的財産庁(IPOPNG)は、投資促進庁(IPA)の一部門であり、著作権関連の情報提供に加えて、パプアニューギニアにおける登録可能な知的財産の権利と法律全般を扱います。特許、商標および意匠の登録はIPOPNGが行います。特許登記官は、特許に関連する方針と法令の確認に加えて、特許の登録簿を維持管理する責任を負います。

オーストラリアとパプアニューギニアには長年にわたり密接なつながりがあります。オーストラリア弁理士として、弊所からもIPOPNGへの直接出願および電子出願が行えますが、正式な通知を受け取り、弊所へ転送するためのパプアニューギニア内の送達宛先として、現地代理人を使う必要があります。

最近の変更

最近の近代化改革により、特許庁は大半の文書を電子申請として受理するようになりました(原本での提出が必要な一部の申請フォームを除く)。それまではすべての文書の原本をクーリエで送る必要があり、遅延や追加費用発生、出願日および申請日に関する混乱を招く場合があったため、これは大きな改善です。

中間手続き

特許出願が行われると、以下の手順で中間手続きが進められます。

  1. まず、特許可能性を考慮しない方式審査が実施されます。方式審査報告書で不備が明らかになると、以下のような補正が必要になる可能性があります。

    • 発明によって解決される問題と、技術的解決策の要点をよりわかりやすく説明するための要約書の補正
    • 図面における参照符号のクレームへの挿入(クレームされた発明の理解を改善するため)
    • その他の明確性の問題

    最近の実務では、方式審査報告書の発行には最大4年間かかる可能性があります。

  2. 形式に関する要件に合格すると、審査請求報告書が発行されます。その際、主要な外国の管轄区域(オーストラリア、欧州、米国、日本、韓国、カナダ、シンガポールなど)で許可された対応出願(優先権出願を含む)に基づいて審査の請求を行い、クレームも許可された対応出願に合わせて補正することが望ましいです。その場合、当該対応外国出願の審査履歴も共に提出します。特許庁での手続きの遅延を考えると、審査請求報告書が発行されるまでに少なくとも1つの他の国・地域の特許庁で、対応する出願の審査が完了していると思われます。

    最近の実務では、審査請求を行ってから、許可通知または特許査定通知書が発行されるまでに、最大5年間かかる可能性があります。

    あるいは、対応外国出願が許可されなかった場合、または特許がパプアニューギニアでしか出願されていない場合、実体審査を請求することができます。ただし、さらなる大幅な遅れ(5年以上)が想定されます。

  3. 補正が適切であり、クレームが特許可能であると審査官が判断すると、出願が受理されます。登録費用の支払い後すぐに特許が付与されます。

期間延長

パプアニューギニアでは、期限が過ぎる前でも後でも期間の延長を請求することができ、少額の手数料を支払うことで概ね容易に認められます。これは、PCT出願の国内段階への移行を含む、すべての期限に適用されます。期限に間に合わなくても、出願または特許が恒久的に失効することはほとんどありません。

費用

庁費用は、パプアニューギニアの公式通貨であるキナで請求されます。為替レートは有利で(1キナは現在0.28米ドルまたは0.24ユーロ)、料金は比較的少額です。たとえば、年金は2年目の170キナ(約50米ドル)から19年目の1400キナ(約400米ドル)の範囲です。このように、パプアニューギニアの特許保護は他の国・地域と比べて安価です。

まとめ

期限が過ぎた後でさえも期間延長が容易に認められることを含めて、中間手続きは(対応外国出願が許可されている場合)比較的簡単であり、費用も他の管轄区域と比べて安価ではあるものの、特許庁での手続きの遅延により、特許が付与されるまで最大10年かかる場合があります。

パプアニューギニアでの特許保護に関心がありましたら、特に主要産業(鉱業および鉱物加工、林業、海洋産業など)と関連する技術の場合は、弊所へご相談ください。

この記事は最初に2021年2月16日に英語で公開されました


弊所では一般的なお問い合わせや見積もりの際にご利用いただける日本語担当窓口を用意致しております。

日本語のお問い合わせを直接 JapaneseDesk@spruson.com 宛にお送りください。技術系のバックグラウンドを持つ日本語窓口担当者が迅速にお返事致します。

出願のご指示等につきましては、通常のメールアドレスに英語でお送りいただけると幸いです。

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