判例研究:A.D. PADMASINGH ISAAC TRADING AS AACHI SPICES AND FOODS V VRAGOPIKA PTY LTD  [2021] ATMO 47(2021年6月4日)

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2018年2月22日、Ragopikia Pty Ltd(出願人)は、第43類の「レストランサービス」および「ファストフード店舗」において商標AACHI INDIAN CUISINEの登録を申請しました。商標出願は受理されましたが、その後、A.D. Padmasingh Isaac(異議申立人)により異議申立が行われました。

異議申立人は、5つの異なる異議申立理由を主張しましたが、(名声を得ている先の商標に関連する)第60条に基づく理由のみが考慮されました。

背景

異議申立人は、1995年にインドで、A.D. Padmasingh Isaac氏(Aachi Business)によって設立されました。Aachi Businessは南インドのタミル・ナードゥ州チェンナイに本社を置き、インドでスパイスの製造を行っています。Aachi Businessは、食品関連商品やレストランサービスの分野でグローバルに事業を展開しています。

異議申立人は、第29類および第30類の食品関連商品の区分において登録された文字商標、オーストラリア商標登録第1219486号「AACHI」の所有者です。また、異議申立人は係属中の文字商標AACHI KITCHENの商標出願、および同様の食品関連商品およびサービスにおいて、 標章の、オーストラリアを指定する係属中の国際登録の所有者でもあります。

Nadarajan Iyyappan Pillai氏によって設立された出願人は、2016年5月からパースで事業を展開しています。この事業は、Pillai氏によると、自身の祖母を偲んで命名した商標を使用し、運営されています。Pillai氏は、祖母を「Aachi」と呼んでおり、この用語は、タミル・ナードゥ州のコミュニティで「祖母」の愛称として使用されていました。Aachiの意味は争われておらず、異議申立人は南インドの一部でこの言葉が「祖母」という意味で使われていることを認めています。特筆すべきは、異議申立人の登録と出願に、Aachiが「敬意を表する年輩の女性」を意味するという是認が含まれており、これは、出願人が述べた意味と矛盾していないことです。

60条:オーストラリアでの名声

オーストラリアの法律の下では、商標の登録に対する異議申立は(i)異議申立を受けた出願の優先日より前に、他の商標がオーストラリアで名声を得ており、かつ(ii)その名声を理由として異議申立を受けた商標の使用が欺瞞または混同を生じるおそれがあることに基づき、可能となります。

名声は、相当な数の広告数やその他の宣伝を伴う大量の販売から推測できます(McCormick & Company, Inc v McCormick [2000] FCA 1335, at [86])。

異議申立人の証拠に基づくと、Aachi Businessは過去20年間にわたって世界的に数百億米ドルの売上高を生み出し、同じ期間にオーストラリアを含む世界的な広告に約10億米ドルを費やしてきました。

異議申立人は、オーストラリア国内でも仲介業者を通じてかなりの数の販売を行い、2008年以降少なくとも136種類のAACHIブランドの製品を輸出しています。異議申立人はウェブサイトを通じて400以上の製品を宣伝しており、AACHIブランドはオーストラリアのインド系住民や南インド料理の消費者の間でもよく知られているとされています。

異議申立人の証拠を考慮した上で、商標庁は、異議申立人のAACHI商標が、出願人の商標出願の優先日より前に南インドの食品および料理において関連するオーストラリアの消費者の間で必要な名声を得ていると判断しました。

第60条の第二の要素に目を向けると、異議申立人は自らの商標に名声があるため、出願人の商標の使用が欺瞞または混同を引き起こす可能性があることも立証しなければなりません。

商標庁は、出願人の商標の使用に起因する欺瞞または混同の可能性があるかどうかを判断する際に、出願人の商標と異議申立人のAACHI商標の類似性を考慮しました。

商標庁は出願人の商標と異議申立人のAACHI商標が本質的に同じであると判断しました。それぞれの商標は「Aachi」という本質的な特徴があり、祖母の家庭料理を彷彿させます。異議申立人が自らのAACHI商標で名声・評判を得ていることを踏まえると、競合する商標と商品およびサービスの類似により消費者が出願人のサービスとの間に何らかの関係があるのではと思うようになると商標庁は判断しました。  異議申立人は第60条における異議申立の理由の立証に成功したため、他の異議申立の理由を考慮する必要はありませんでした。

判決の全文は、ここ(here)から読むことができます。

この記事は最初に2020年8月10日に英語で公開されました


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