ニュージーランド最新情報:特許法と手数料の変更案

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この最新情報記事は、2013年特許法施行以降のニュージーランドの特許法の変更に関する過去の記事を引き継いでいます。

  • New Zealand announces amendments to its patent regulations(英語)
  • New Zealand divisional filing deadline(英語)
  • New Zealand Patent Law Update: Proposed Changes to 2013 Act to Prevent “Daisy-Chaining” of 1953 Act Divisional Applications(英語)

今回は、以下の事柄を含む最近の動向についての検討を行います:

  • ニュージーランド知的財産庁(IPONZ)の審査請求期限、および実務における変更について;
  • 庁費用の増額案;
  • 「起源の開示」要件の導入の可能性

審査請求手続き指令 – どこへ?

ニュージーランドでは、特許出願が出願された時点で自動的に審査待ちの列に入ることはありません。出願人は、「審査請求手続きをすべき旨の指令」の発行から2ヶ月以内、または出願日から5年以内に審査請求を行う必要があります。弊所の経験では、ほとんどの出願人が指令の発行を待ってから審査請求を行う傾向があります。従来IPONZは規則的に指令を発行していたため、これは合理的な方策でした。

しかし、「審査請求手続きをすべき旨の指令」は今後IPONZから発行されなくなります。これにより、一部の出願では、5年の期限が近づくまで審査請求が行われない可能性があると思われます。

ゾンビ(分割出願)にご注意を

重要なのは、この5年の審査請求期限は、親出願と同じ出願日が付与される分割出願にも適用されるということです。よって、5年の期限が近づいてから親出願の審査請求を行う場合、特許発明の対象を分離するため、または特許出願を継続させるためのどちらの目的であっても、分割出願を行うことが難しくなる恐れがあります。これは特に、親出願の中間処理期間が5年の審査請求期限を超過した場合に問題となります。

現在は5年の期限後に分割出願を提出することに対して制限がないため、出願日の5周年でも分割出願を正当に出願できると考えられますが、審査されることはないため、結果的に、正当に出願されていながら(そのため維持費が発生します)、決して許可されず行使もできない「ゾンビ分割出願」となってしまうことが考えられます。

弊所からのアドバイス

現在ニュージーランドで特許出願中の出願人は、上記の期限を念頭に置く必要があります。 追加で対象をクレームするため、または審査の過程で問題が予想されるために分割出願が必要である場合、5年の期限が経過する前に、分割出願を行い、更に審査請求を行う必要があります。この問題を回避するために、弊所ではニュージーランドのすべての出願において、出願日から3年以内に審査請求を行い、確実に審査が進行している状態にすることにより、分割出願の必要性を余裕を持って検討できるようにしておくことを推奨しています。

2013年特許法は公開協議のために来年公開される予定のオムニバス特許法案にて改正される予定で、その中で「ゾンビ分割出願」の問題は修正される可能性があります。しかし、この修正により5年の審査請求期限が分割出願へどう適用されるのかが変更されるわけではなく、実際には5年の期限後に分割出願が出来なくなるよう修正されると考えられています。

庁費用値上げ

IPONZは、討議資料で庁費用増額の提案を発表しました。提案通りに制定された場合には、特許のライフサイクルを通して庁費用が大幅に増加する見込みです。注目すべき変更点には、以下が含まれます:

  • クレームが30項を超えた場合、クレーム10項からなる1セット毎に$200の超過クレーム費用が導入され、審査請求を行う際に支払いが必要となる;
  • 審査請求費用の増額。$500から$750に;
  • 受理後の補正費用の増額。$100から$500 – 600(特許または出願に適用される特許法により異なる)に;
  • 特許が付与された時点の特許法に応じた、年金の大幅な変更(下表1参照)

1

1953年法(一括払い) 提案料金(現行) 2013年法(年一回づつの支払い) 提案料金(現行)
4年目 $600 ($170) 4年目 – 9年目 $200 ($100)
7年目 $600 ($340) 10年目 – 14年目 $450 ($200)
10年目 $1,350 ($540) 15年目 – 19年目 $1,000 ($350)
13年目 $5,900 ($1,000)    

新費用が制定され施行されると、次回の年金支払いの際に適用されることになります。例えば、1953年法下での特許の13年目の年金の支払期限がこの新費用が施行された後である場合、費用は現在の$1,000ではなく、$5,900となります。

制定される費用は、表1で示された費用に近いものとなり、2019年半ばから施行されると予想されます。審査請求費用およびに新たな超過クレーム費用の増加を避けるためには、これらの改正が有効となる前に審査請求を行うことが必要です。

注:上記全ての費用は、ニュージーランド・ドルでの表記です。

「起源の開示」要件は?

特許庁は現在、遺伝子資源(GR)または伝統的知識(TK)のいずれかに依拠している全ての出願について「起源の開示」要件を導入する旨の提案について、公に意見提示を求めています。これは特許と植物品種権(PVR)の両方の出願に適用されます。

提案されている開示のレベルは、GRまたはTK(知られている場合)の起源国を陳述する簡単な宣誓から、起源国へのアクセスのおよび起源国との利益分配の取り決めの証拠を伴った起源国の宣誓まで様々です。どうやら、これらの協議においては、現状を維持する提案は考慮されていない模様です。

最終的に要求される開示レベルにかかわらず、このような規定によりGRまたはTKに依拠する発明の特許権保護を得るために必要な時間および労力が増えることが予想されます。これらの提案は現在、公での協議のために公開されており、2018年12月21日に公開は終了します。

終わりに

ニュージーランドでの直近の変更案は、ニュージーランドで出願済みまたは出願予定の出願人、そして有効な特許を所有する特許権者に影響を与える可能性があります。弊所では次のように提案いたします:

  • 以下に該当する出願に対して、現在審査請求を行う必要があるかどうかを検討する:
    • ニュージーランドでの出願日が3年以上前である特許出願。特に、出願の延長、または発明の単一性に関する拒絶理由解消のために削除した対象をクレームする目的で分割出願が必要な場合;
    • 現在係属中のクレームが30項以上ある出願。新費用が施行される前に審査請求を行えるようにするため;
  • 今後の年金費用の変更について、特に1953年の特許法下での特許および出願についてご懸念がありましたら、弊所にご連絡ください;
  • 遺伝子資源や伝統的知識に依拠する出願では、将来的に、申請時・受領前に、追加の宣誓書作成が必要になる場合があることをご留意ください。

弊所では、上述の改正および規定がニュージーランドで制定されましたら、追って更新情報をお知らせいたします。また、ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。


弊所では一般的なお問い合わせや見積もりの際にご利用いただける日本語担当窓口を用意致しております。

日本語のお問い合わせを直接 JapaneseDesk@spruson.com 宛にお送りください。技術系のバックグラウンドを持つ日本語窓口担当者が迅速にお返事致します。

出願のご指示等につきましては、通常のメールアドレスに英語でお送りいただけると幸いです。

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