香港のOriginal Grant Patent (OGP) の紹介

Share

香港知的財産局 (HKIPD) は、2019年12月に香港の特許制度を大幅に改定し、Original Grant Patent (OGP) 制度を導入しました。OGP制度は、香港で標準特許 (O)を直接出願する手段を提供しており、再登録制度と平行して提供されます。これは、香港の特許制度を他の主要な特許庁と適合させる重要な改定で、香港の革新と技術開発をより強く支援することが期待されています。

実体審査

新制度では、実体審査が標準特許 (O) の登録の前提条件になります。HKIPDが発行した『Patent Examination Guidelines』 (特許審査のガイドライン、以降「ガイドライン」) には、登記官が実体審査を行う際の原則と実務が含まれています。

新規性、進歩性、かつ産業上の利用可能性が認められ、またその他の要件が満たされれば、その発明は香港で特許可能となります。新規性の標準は他の主要特許庁の標準に沿っており、知的財産局は香港および世界各国における公示に基づいて先行技術を検討します。知的財産局は、最先の優先日から6ヶ月の猶予期間内に行われた発明の開示については、その開示が明白な乱用の場合、または所定の展示会または会議において出願人または発明の所有者により行われた場合、無視します。

クレームされた発明の進歩性を査定する場合、一般的に知的財産局はイギリスの上訴院によるPozzoli方法 (Pozzoli Spa v BDMO SA [2007] EWCA Civ 588) を適用します。この方法は、香港の裁判所でも慣例的に使われています。Pozzoli方法では、当業者およびその当業者が有する共通の一般知識を識別する必要があります。その査定は、当該技術分野に詳しいが発明の才はない仮想の人物に基づきます。審査官はクレームの発明概念およびその技術貢献度を検討します。そのため、発明概念を強調するために、適切に起案された一連のクレームが重要となります。

香港で標準特許 (O) の出願を行う前には、記載要件、発明の単一性、二重特許などその他の要件も入念に検討する必要があります。特に、ガイドラインでは同じ発明者が行った単一の発明に対する二重特許の認可を禁じています。よって、同じ対象の範囲を持つ短期特許がすでに許可されている場合、知的財産局は標準特許 (O) を許可しません。

優先権主張の拡張

この改定では、優先権主張に関する規則も修正されました。12ヶ月の優先期間徒過後2ヶ月以内に出願が行われた場合、出願人は優先権の回復を申請することができます。ただし、「Patent (General) Rules」 (以降「規則」)の第31B(2)(b)(ii) によると、回復申請には12ヶ月の優先期間が徒過する前に正式に出願を提出しなかった理由を示す証拠を添付する必要があります。現時点では知的財産局が優先期間の徒過後2ヶ月以内に提出された出願に対してどのように裁量を行使するかは不明です。

複数の独立クレームと従属クレーム

独立クレーム数の合計が2つを超えてはいけない短期特許出願と違い、新制度下では、「Patents Ordinance」 (以降「条例」)の第113(1A)(b)(ii)、および「規則」の第58(2)(b) により、標準特許出願 (O) の特許明細書における一連のクレームには複数の独立クレームを含めることができます。また、標準特許 (O) 出願に含まれる独立および従属クレーム数の合計には特に制限がなく、クレームの追加料金も不要です。ただし、「条例」の第78(1)(b) により、特許出願または特許の明細書に含まれているクレームは簡潔である必要があります。さらに、「規則」の第31S(7) では、クレーム数は妥当なものでなければならないと規定されています。そのため、妥当な域を超えた多数のクレームがある場合、拒絶理由となりえます。

まとめ

香港では、発明は標準特許または短期特許において保護できます。現在では、新たに導入されたOGP制度を利用して標準特許を直接出願できるようになりました。この制度は、再登録ルートと並行して機能します。OGP制度は、香港で特許を取得するための直接的かつ経済的な手段を提供するという利点があります。 Spruson & Ferguson (香港) は、OGP制度の直接的な経験があり、この新制度下での標準特許 (O) 第1号を出願したことを誇りに思っています。 OGP制度について何かご質問がある場合は、どうぞご遠慮なくお問い合わせください。

この記事は、最初に2020年1月15日に「Managing IP」で公開されました。

この記事は最初に2020年2月4日に英語で公開されました


弊所では一般的なお問い合わせや見積もりの際にご利用いただける日本語担当窓口を用意致しております。

日本語のお問い合わせを直接 JapaneseDesk@spruson.com 宛にお送りください。技術系のバックグラウンドを持つ日本語窓口担当者が迅速にお返事致します。

出願のご指示等につきましては、通常のメールアドレスに英語でお送りいただけると幸いです。

Share
Back to Articles

Contact our Expert Team

Contact Us