最終期限迫る:イノベーション特許は間もなく終了 見逃し注意

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前回の記事で述べたように、オーストラリアの2層目の特許システムであるイノベーション特許は2021年8月25日から段階的に廃止されます。出願日がそれ以降の出願は、イノベーション特許として付与されることはなく、また代替となる2層目の特許システムも現時点ではありません。

イノベーション特許出願を検討している場合、今後の重要になる日付は、以下のとおりです。

  • 2021年8月25日以前:
    イノベーション特許は、第一国出願として出願することができます(既存の制約が適用されます)。
  • 2021年8月26日以降:
    イノベーション特許は、有効出願日が2021年8月25日またはそれ以前である場合にのみ付与され得ます。既存の通常特許出願またはオーストラリアを指定するPCT出願をイノベーション特許に変更することができ、有効出願日が2021年8月25日またはそれ以前である限り、分割イノベーション特許を出願することもできます。

イノベーション特許とは何か。

イノベーション特許システムとは、オーストラリアにおける2層目の特許システムであり、2000年に導入されたものです。その狙いは、既存の製品の漸進的な改善など、より低次な発明を保護するために費用効果の高い特許オプションを国内の中小企業に提供することでした。このような漸進的な変更は、製造や製剤科学などの業界で発生することがあります。例えば、既存の製品よりも商業的に有利な製品の開発が、標準的な特許保護を取得するために必要な進歩性の閾値を満たさない場合があるからです。

イノベーション特許は、特許性に関する閾値を「革新性」に下げることで、このギャップを埋めるものです。革新性においては、たとえその変更が明白であっても、発明の機能に「実体的な」寄与、すなわち、些細ではない寄与をすることのみが要求されます(例えば、安定性を向上させるために製剤中の溶媒を置き換える)。また、イノベーション特許は、実体審査なしで付与されますが、審査後に審査証明されて初めて実施することができます。しかしながら、その代償として、保護される期間が、通常特許の場合では、20年であるのに対し、イノベーション特許では、わずか8年となります。

しかしながら、このシステムは一部の中小企業には意図どおりに使用されてきたとはいえ、訴訟ツールとしてオーストラリアで(法的強制力はないが)「付与された」特許権を取得するために、大手外国企業やその他外国の出願人によって使用されています。したがって、中小企業がイノベーション特許システムを維持するように、あるいは修正するようにと、多くの運動を行っているにもかかわらず、システムが意図した効果を発揮していないことは間違いないため、段階的に廃止されることになります。

遅すぎることはない

残された期間は少なくなってきましたが、イノベーション特許を出願するのに遅すぎることはありません。上述のように、イノベーション特許は、変更が新規であり、発明を実施するにあたって、真の寄与、あるいは実体的な寄与をしている限り、既知の製品に対する漸進的な変更に適しています。

なお、連邦政府には、代替の第二の特許システムをすぐに提供する予定はありません。2021年8月26日以降、漸進的改善に対する特許保護は、より高い進歩性の閾値を満たす必要があるため、取得がより困難になる可能性があります。

上述の基準を満たす発明を有していると思われる場合は、ご連絡いただければ、イノベーション特許制度を利用するための選択肢や適性について、今のうちに検討のお手伝いをさせていただきます。

この記事は最初に2020年7月6日に英語で公開されました


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