シンガポール特許:2022年知的財産(改正)法における手続き変更点及び庁費用更新の最新情報

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シンガポール知的財産局(「IPOS」)が2021年知的財産(「IP」)(改正)法案(「法案」)を提案したことを以前ご報告しましたが、この法案が2022年1月12日に可決されました。2022年知的財産(改正)法(「改正法」)が2022年5月26日にシンガポールにおいて施行されることになります。改正法は、特許、商標、登録意匠及び植物品種保護の手続き及び手数料の変更点をまとめています。ここでは、シンガポールにおいて特許出願するための手続き及び庁費用の主な変更点を要約します。

オフィスアクションの代替形態

審査中、出願を補正することにより、比較的軽微な拒絶理由を見解書の発行なしに解消できると審査官がみなした場合、審査官は見解書の代わりに「補正の要請」を発行することにより、出願人に出願の補正を要請することができます。補正の要請に応答する期限は2ヶ月で、延長はできません。

補正の要請において求められた軽微の補正では拒絶理由が解決されない場合、または出願人が補正の要請への応答を拒否した場合、または出願人が補正の要請に応答する期限を超過した場合、審査官は既存の実務に従って、最初のまたはそれに続く見解書を発することができます。

上記は、実体審査が開始されているが2022年5月26日以降に完了していない全ての特許出願、及び2022年5月26日以降に申請される全ての実体審査請求に適用されることになります。ただし、補充審査が請求された既存の出願または新規の出願には適用されません。

配列表

特許出願が配列を開示する場合、今後は特許出願の明細書に配列表を含め、この配列表を広く行き渡っている世界知的所有権機関(「WIPO」)標準に準拠する形式で、明細書の区分けされた一部分として提出しなければなりません。

万一、配列表が提供されていない場合、登録官は出願人に調査の目的で配列表の提供を要請することができます。ただし、出願日において明細書内に含まれていない配列表は出願の一部とはみなされません。

出願日が2022年5月26日以降である全ての出願において、配列表は明細書内に含まれていなければなりません。さらに、出願日が2022年5月26日から2022年6月30日までの特許出願では、配列表はST.25標準に準拠していなければなりません。出願日が2022年7月1日以降の特許出願では、配列表はST.26標準に準拠していなければなりません。

非英語国際出願の英訳文公開

国内段階への移行時に、出願人は非英語国際出願の英訳文公開の請求や関連庁費用の支払いを行う必要がなくなります。英訳文が特許庁に提出されている場合、18ヶ月の公開期間または早期公開の請求に従って、登録官はその英訳文を自動的に公開することになります。上記は、2022年5月26日以降にシンガポールにおいて国内段階に移行する全ての国際出願に適用されることになります。

第1の発明の審査

出願が、単一の発明概念を成さない2つ以上の発明に関連する場合(すなわち、発明の単一性の要件違反による拒絶理由がある場合)、特許の請求の範囲の第1発明に審査が限られることが今回、明確にされました。これは、2022年5月26日以降に申請される全ての審査請求に適用されることになります。

審査再考の流れの変更

以前は、審査再考の請求が提出されると、第1の審査官が発行した拒絶理由の残る実体/補充審査報告書に第2の審査官が同意するか同意しないかを判断するために、第2の審査官が出願書類を再審査する必要がありました。2022年5月26日以降に提出される審査再考報告書の請求では、審査再考請求の提出時に補正書が提出された場合には、第2の審査官は拒絶理由の残る審査報告書にて挙げられた拒絶理由考慮する必要がなくなります。

所定書類の提出

IPOSが調査の最終結果または英語による国際調査報告書の最終結果を策定した場合(例えばIPOSが英語の国際調査報告書を作成した国際調査機関である場合)、かつ、この報告書が事前に出願人に送付されている場合には、出願人は、審査請求時に調査結果の写しを提出する必要がなくなります。上記は2022年5月26日以降に申請される審査請求に適用されることになります。

要約書における図の数

明細書に図面が含まれている場合、出願人は、今後は公開の目的で要約書において最大2つの図しか示すことができなくなります。これは、2022年5月26日以降に出願されるすべての出願に適用されます。

訂正の公開

さらに、2022年5月26日に実施されるIP全般改正の一部として、登録官は、権利者の氏名またはその他の詳細、あるいは出願の優先権の詳細の訂正等、第三者の利益に影響を与え得る訂正を公開する裁量権を有することになります。公開後2ヶ月以内であれば、誰でも提起された訂正への異議申立書を提出することができます。上記は、2022年5月26日以降に提出される関連の訂正請求に適用されることになります。

庁費用の値上げ

出願及び中間処理段階中のほとんどの庁費用が約5%~6%上昇し、特許料(年金)が約15%~18%値上げされることになります。従って、出願人は、出願戦略を検討する際にこれらの値上げに留意するべきでしょう。さらに、値上げ後の庁費用を支払わずに済むように、出願人は、庁費用の値上げが施行される2022年5月26日以前のできるだけ早期に、庁費用の支払いが発生する関連事項について指示を行うべきでしょう。

上記の変更は、他のIP実務と特許実務の整合性を改善し、シンガポールにおける特許出願の運用効率を改善することが意図されています。これらの変更により、グローバルIPハブとしてのシンガポールの地位が強化されることを弊所は期待しています。改正法の更なる情報については弊所の専門弁理士にお気軽にお問い合わせください。

*この記事は2022年4月28日のIPOSの告知に基づき、2022年5月9日に更新されました。

この記事は最初に2022年4月14日に英語で公開されました


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