シンガポールのFast Trackプログラム(特許早期審査制度)、商標と登録意匠出願も対象に

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シンガポール知的財産庁(IPOS)は、SG Patent Fast Trackプログラム(シンガポール特許早期審査制度)の対象が商標と登録意匠出願にも拡大され、2020年9月1日から「SG IP Fast Track(シンガポール知財早期審査制度)」という新しい名称になることを発表しました。SG Patent Fast Trackプログラムは全技術分野での特許出願の早期審査を行い、通常は2年間かかる特許付与までの期間をわずか半年にまで削減するために、2020年5月4日から開始されました。特許の早期審査制度の詳細については、こちら をご覧ください。

拡大された早期審査制度を利用することにより、SG IP Fast Trackプログラムで特許出願を行った出願人は、関連する商標および登録意匠出願の早期審査を何件でも無制限に1要求することができます。このプログラムでは、簡単な商標出願においてはわずか3か月、複雑な出願でも半年で登録することができます。登録意匠出願においては1か月という速さでの登録が可能となります。

この実用的な進歩により、革新的な企業が自社製品に関係する知的財産権をわずか数か月で全体的なセットとして確保できるようになり、構想から立ち上げまでの時間を短縮することで、競争上の優位性を得ることができます。この拡大された早期審査制度は現時点で無料であるため、利用する上でのマイナス面はありません。

制度の対象となるには、商標および登録意匠の出願が、特許出願の発明、あるいは関連する製品およびサービスに繋げて使用されるという意味で、特許出願に「関連する」ことだけが条件となります。ただし、次のようないくつかの制限もあります。

  • 出願人は、審査中にいかなる期限の延長も要求してはならず、不備またはオフィスアクションについては、商標の場合は通知後1か月以内、登録意匠の場合は通知後2週間以内に解決しなくてはなりません。
  • 商標の場合、標準商標のみが対象となり、連続商標、証明商標または団体商標、立体商標およびその他の、従来とは異なる新しいタイプの商標などの「非標準型」商標の早期審査は行えません。
  • 商品およびサービスの仕様はIPOSで事前に承認済みの分類データベースに完全に適合しなくてはならず、商品およびサービスの新規の記載またはカスタマイズされた記載は、通常のプロセスに基づいて審査される必要があります。

関連する商標および登録意匠出願は、関連する特許出願がSG IP FAST Trackプログラムの対象となったという通知の1か月以内に、同時にまたは個別に出願されなくてはなりません。早期審査を要求するための規定の書類はありませんが、商標または登録意匠出願の出願番号を記載し、特許出願番号と、当該特許出願がSG IP Fast Trackプログラムの対象であることを示すPatent Preliminary Examination Report(特許予備審査報告)のコピーを添付する必要があります。

手続きや、このプログラムに参加するためのその他の条件に関する詳細については、こちらのリンクをご覧ください。

1 特許出願において個人および法人の毎月合計5件の出願上限数(IPOSにより受理された先着順)、および年間10件の申請上限数には変わりありません。

この記事は、プリンシパルAmy Chan、アジア商標担当ディレクターCoral Toh、および商標/審査管理者Dominic Foo Ronghanが執筆しました。

この記事は最初に2020年9月8日に英語で公開されました


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