インドの改正特許規則、2020年10月19日に発効

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インド商工省は、2020年10月19日付けで2020年特許(改正)規則の公表および施行を行った旨の通知を発行しました。

要約すると、主な改正事項は、優先権書類の提出およびその英訳の証明書に関する要件、ならびにインドで付与された特許に対する実施状況に関する陳述書(Statement of Working)に対する提出スケジュールと提出物の内容に影響があります。

  1. 優先権書類の提出に関する要件については、例外の範囲が拡大され、出願人が受理官庁に、電子図書館から優先権書類を取得するよう求めるというPCT規則17.1(bの2)に基づく状況も例外に含まれるようになりました。さらに、英訳文の提出は、優先権の主張の有効性が特許性の判断に関する場合、あるいは国際出願日の誤りが訂正されている場合(PCT規則51の2.1(e)(i)および(ii))に限定して要求されるようになります。
  2. 付与された特許に対する実施状況に関する陳述書は、これまで規定されていた暦年の代わりに、特許付与された年の直後に始まる会計年度から起算される(4月1日始まりの)会計年度)ごとに提出することとなります。さらに、実施状況に関する陳述書は各会計年度終了から6か月以内に提出することができます。

実務におけるの推奨事項

優先権書類の提出

PCT規則の規則17.1(bの2)に従って、国際事務局が優先権書類を電子図書館から入手できる場合、出願人は優先権書類を提出する必要はありません。加えて、優先権書類の英訳証明書は、出願がPCT規則の規則51の2.1(e)(i)および(ii)に該当しない限り、提出が不要となります。

実施状況に関する陳述書

それに伴い、今後の報告では、2020年4月1日より前に付与された特許の実施状況に関する陳述書は、2021年4月1日から2021年9月30日まで提出することができます。2020年4月1日から2021年3月31日までの期間についての関連情報の提出が必要となります。

インド特許規則の改正に関する詳細情報は、以下の記事をご参照ください。

I. 優先権書類

以前の規則21では、PCT規則の規則17.1(a)および17.1(b)に従って、受理官庁に優先権書類が提出されていた場合、優先権書類の提出は不要であると規定していました。加えて、優先権書類が英語ではない場合、すべての国内移行出願において優先権書類の英訳証明書を提出する必要があるとも規定されていました。

以前の規則21の規定:

(1) インドを指定する国際出願に関する出願人が、条約に基づく規則の規則17.1の(a)項または(b)項の要件を遵守しなかった場合、出願人は、規則20のサブ規則(4)で言及されている期限が満了する前に、その規則で言及されている優先権書類を特許庁に提出しなければならない。

(2) サブ規則(1)で言及されている優先権書類が英語で書かれていない場合、出願人または出願人が任命した人物が検証したその英訳を、規則20のサブ規則(4)で指定されている期限内に提出しなければならない。

(3) 出願人がサブ規則(1)またはサブ規則(2)の要件を遵守しない場合、所轄の官庁が、出願人に優先権書類またはその翻訳文を提出するように求め、こうした求めの日付から3か月以内に出願人が提出することを怠った場合には、この法の趣旨から、出願人の優先権に対する主張は否認されるものとする。

改正規則21の規定:

(1) インドを指定する国際出願に関する出願人が、特許協力条約に基づく規則の規則17.1の(a)、(b)または(bの2)項の要件に準拠しなかった場合、および、当該条約に基づく規則の前記規則17.1の(d)項に従って、出願人は、規則20のサブ規則(4)で言及されている期限が満了する前に、その規則で言及されている優先権書類を特許庁に提出しなければならない。

(2) 特許協力条約に基づく規則の規則51の2.1の(e)項のサブ項(i)またはサブ項(ii)が適用される場合、出願人または出願人が任命した人物が検証したその英訳を、規則20のサブ規則(4)で指定されている期限内に提出しなければならない。

(3) 出願人がサブ規則(1)またはサブ規則(2)の要件を遵守しない場合、特許庁が、出願人に優先権書類またはその翻訳文を提出するように求め、こうした求めの日付から3か月以内に出願人が提出することを怠った場合には、この法の趣旨から、出願人の優先権に対する主張は否認されるものとする。

規則21の改正では、例外の範囲が拡大され、出願人が受理官庁に、電子図書館から優先権書類を取得するよう求めるPCT規則の規則17.1(bの2)が例外に含まれるようになりました。

  1. 優先権の主張の有効性が、特許性の判断に関係する場合、または
  2. 国際出願日の誤りが訂正されている(PCT規則の規則4.18および20.6に基づく参照による引用を根拠とする規則20.3(b)(ii)または20.5(d)に従う)場合。

II. 実施状況に関する陳述書への変更

2005年インド特許(改正)法の第85条によると、特許は、インド領土内において商業規模で、最大範囲で実施されていなければならず、特許された発明はインドの公衆にとって合理的に手頃な価格で利用可能でなければなりません。

全ての特許権者およびライセンシーは、特許がインドで商業的に実施されている範囲を明記する陳述書を定期的に提出することが求められます。これまで、こうした陳述書は、1970年の特許(改正)法の第146(2)条、および2003年特許規則の規則131に従って、各暦年の年末から3か月以内に提出する必要がありました。つまり、全ての特許権者およびライセンシーが、当該年の3月31日までに、暦年前年の特許の商業的な実施に関する情報の概要を記載した実施状況に関する陳述書を提出する必要がありました。

以前の規則131(2)の規定:

「サブ規則(1)で言及した陳述書は、各暦年の年末から3か月以内に提出しなければならない。」

改正規則131(2)の規定:

「サブ規則(1)で言及した陳述書は、各会計年度毎に1回提出するものとし、特許が付与された会計年度の直後から始まる会計年度を起点とし、かかる会計年度の年度末から6か月以内に提出しなければならない。

規則121(2)の改正は、付与された特許に対する実施状況に関する陳述書が、特許が付与された年度の後に始まる会計年度から起算して、(暦年ではなく)会計年度ごとに提出する必要があることを意味します。会計年度は4月1日始まりと解釈されます。

加えて、実施状況に関する陳述書の提出期限も、以前の毎年3月31日の締切(暦年の年末から3か月)に対して、会計年度の年度末から6か月以内になりました。会計年度は4月1日から翌年3月31日までとなるため、実施状況に関する陳述書は、遅くとも該当する会計年度の9月30日までに提出する必要があります。

Form 27(インドにおける商業規模の特許された発明の実施に関する陳述書)にも改正がありました。改正の詳細を以下に示します。

  1. 改正フォームでは、特定の特許発明から発生した概算の収益/価値が、その他関連特許から発生した概算の収益/価値から個別に算出できない場合、関連特許全般に関する統合的な陳述書を提出することが可能となります。
  2. 任意の年のライセンス/サブライセンスを特定する要件が削除されました。
  3. 公衆の求めに対して手頃な価格で満たされているかどうかを陳述する要件が削除されました。
  4. 実施された、または実施されなかった特許の詳細を、500ワード以内で説明する必要があります。

この記事は最初に2020年10月27日に英語で公開されました


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