香港知的財産局(HKIPD)は、2019年12月19日をもって新しい特許システムを開始することになります。これは、特許修正条例2016(Patents (Amendment) Ordinance 2016)および同日に施行される特許一般修正規則2019(Patents (General) (Amendment) Rules 2019)に従って実施されます。新しい特許システムの下で、香港の標準特許保護のための直接出願ルートは、既存の再登録特許システムと並行して提供されることになります。これは香港の特許システムの抜本的な改革であり、特許制度を近代化し、香港のイノベーション業界のサポートを強化するものです。
香港における特許の種類
香港には、標準特許と短期特許の2種類の特許があります。
1. 標準特許
標準特許は、発明を最大20年間保護します。既存の特許システムでは、標準特許は香港以外の3つの指定特許庁のいずれかに出願された指定特許出願を再登録することでのみ取得できます。
2. 短期特許
短期特許は、最大8年間という限定的な特許保護を取得できる、よりコスト効果の高い代替案です。既存のシステムでは、短期特許出願は香港特許登録局に直接出願することができ、方式審査のみが行われます。
今回の改革における主な修正点
特許修正条例2016で最も注目すべき修正点は、香港で標準特許を取得するための直接出願特許(OGP)システムが導入されたことです。出願人は、2019年12月19日以降、香港特許登録局に標準特許出願を直接申請できるようになります。標準特許出願の明細書は、英語または中国語で作成することができます。特許出願の実体審査請求は、出願日または標準特許出願の最先の優先日から3年以内に申請する必要があります。標準特許を取得するための既存の再登録ルートは今後も維持されます。
HKIPDは、暫定的措置として、香港標準特許出願の実体審査を中国国家知識産権局(CNIPA)に委託することになります。CNIPAの審査官は、クレームされた発明の新規性および発明の進歩性に関して技術的な意見を提供し、香港の特許登録局はCNIPAの技術的な意見を踏まえ、香港の特許条例に基づいてオフィスアクション(審査通知)を準備します。
特許修正条例2016に基づいて、HKIPDは既存の短期特許システムにも改良を加える予定です。短期特許出願で許可される独立請求項の数は、現行のシステムでは1つですが、新システムでは、独立請求項が単一の発明に関連していることを条件として、2つに増やされます。
さらに短期特許は、以下の状況では特許登録官による特許付与後の実体審査の対象となります。(1)短期特許の所有者または短期特許の有効性に関して正当な懸念を抱える任意の第三者の要請、または(2)短期特許の所有者による、未審査の短期特許の実施のための前提条件として。
実体審査の申請を受理すると、特許登録官が短期特許を審査し、審査要件を満たしているかどうかを査定します。当該短期特許が審査要件を満たしていないと判断された場合、特許登録官は1つ以上の異議を提示し、短期特許の所有者には、短期特許に対する意見書および/または補正書を提出して特許登録官の異議に対処する機会が与えられます。
実体審査の後に、短期特許がすべての実体要件を満たしていると特許登録官が判断すれば、短期特許の有効性を確定する実体審査証明書が発行されます。もし短期特許がすべての実体要件を満たしていないとみなされた場合、その短期特許は取り消されます。
なお、特許修正条例および特許一般修正規則の施行に伴い、新しく改訂された手数料が導入されます。
直接出願標準特許出願の出願費用は、電子出願の場合はHK$345、紙出願の場合はHK$480となります。標準特許出願の実体審査の請求費用は、HK$4,000です。
短期特許出願の出願費用は、電子出願の場合HK$755からHK$545に値下げされます。紙出願の手数料はHK$755で据え置きとなり、既存の公告手数料HK$68も同様です。
指定特許出願を記録するための請求と、指定特許の登録請求のための費用も、電子出願の場合はHK$380からHK$275に値下げされます。紙出願の手数料はHK$380で据え置きとなり、既存の公告手数料HK$68も同様です。
コメント
OGPシステムの導入により、標準特許出願は、香港以外の3つの指定特許庁のいずれかに最初に特許保護を申請することなく、香港現地で出願できるようになります。その結果、香港で標準特許保護を得るために必要なコストと時間との両方の節約が期待されます。新しい特許システムによる変更により、特に中小企業や香港に拠点を置く組織からの、香港における標準特許保護の申請件数は増加すると予想されます。また、香港を地域のイノベーションハブに成長させるという香港政府の目標も前進します。
香港の特許改革についてご質問がある場合は、お気軽にお問い合わせください。
この記事は最初に2019年10月22日に英語で公開されました
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