意匠のグレースピリオドの今後の展望

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2003年のオーストラリア意匠法に対する変更案で、12か月のグレースピリオドを導入

2020年意匠法改正法案(知的財産対応諮問委員会)(Designs Amendment (Advisory Council on Intellectual Property Response) Bill 2020)はまず2020年12月2日に上院に提出され、その後2021年2月4日に下院に提出されました。この法案は、2003年オーストラリア意匠法への変更案を通じて、オーストラリアの登録意匠制度を改善することを目的とした変更案の実現を図るものです。

この法案で特に注目すべき改正案の1つが、12か月のグレースピリオドの導入です。これにより、オーストラリアの登録意匠制度が、英国、欧州、日本、米国などの諸外国の制度にさらに近づきます。なお、台湾、韓国、南アフリカなど、その他の管轄区域では、6か月のグレースピリオドを設けています。

オーストラリアで意匠を登録する(したがって権利侵害者に対して権利を行使する)には、出願日の時点で「新規性と区別性」を有する必要があります。この要件は世界中の国々で公開された意匠に照らして評価され、文書での開示はオーストラリアの管轄区域に制限されません。したがって、意匠登録を行う場合は、世界中どこでも、たとえば広告や販売などによって公に開示される前に、その意匠を登録する必要があります。

オーストラリア、およびその他一部の管轄区域における特許では、12か月のグレースピリオドが設けられているため、出願人は、自身による開示の後その期限までに、特許出願を行うことができます。これは、不注意で、または意図せずに出願前に発明を公開してしまった出願人にとって効果的な救いとなります。

オーストラリアでの意匠は今のところグレースピリオドが設定されていないため、そのことを知らない多くの出願人が誤って、自身による開示を行ってしまうという罠にかかっています。特許でグレースピリオドを利用する発明者も、発明に対して特許出願は行うことができるのに、関連する製品の意匠出願はできないと知って驚かれることが多々あります。これらの理由から、着想がある場合はなるべく早めに知財の専門家に相談することの重要性がおわかりいただけると思います。

この法案が可決され、グレースピリオドが導入されれば、オーストラリアで意図せず意匠権を失う可能性が少なくなります。これは、出願日の前に製品を公に開示してしまったオーストラリアの出願人、意匠図案家、および企業にとって良い知らせとなるでしょう。

2020年意匠法改正法案(知的財産対応諮問委員会)(Designs Amendment (Advisory Council on Intellectual Property Response) Bill 2020についての詳細や、提案されている意匠のグレースピリオドに関する詳細情報をご希望の場合は、お気軽に当所までお問い合わせください。

この記事は最初に2021年3月9日に英語で公開されました


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