2019年3月11日に、ミャンマー連邦議会は、ミャンマーの特許登録の新たな時代の幕開けを告げる、「Pyidaungsu Hluttaw Law No. 7/2019」 (以降「特許法」)を制定しました。2019年1月30日に可決された新商標法は今年施行予定ですが、新特許法は現在未決定で、ミャンマーの大統領から通知が発表された際に施行されます。
新たな特許制度は、企業と発明者の両者にとって嬉しい知らせとなっています。従来、ミャンマーの事業はその知的財産の保護に、植民地時代の法律を使用してきました。特許権は、付与された対応特許に基づく所有権宣言書をミャンマー登記局が受理することにより、認められていました。また特許権者が、その特許の所有権の主張を3年ごとに地元の新聞紙に記載する義務がありました。特許登録に対する公式的な枠組みがないため、特許権者がその発明を保護したり、ミャンマーの特許侵害者に対して権利を行使したりすることが困難でした。
新しい特許法下では、登記官、部署、審査官で構成されたミャンマー知的財産庁が商務省の下に設立され、先願主義制度で特許登録の管理が行われます。この特許法では、20年の保護期間を持つ特許と10年の期間を持つ実用新案 (小特許) の両方の保護手段を提供しています。発明の特許性に関する要件は公認の、新規性、進歩性、および産業上の利用可能性ですが、小特許に関しては進歩性の要件を満たしている必要はありません。他国と同様に、発見、科学理論、数学的手法、ビジネス運営のためのシステムと規則、精神活動のパフォーマンスとゲームをすること、およびコンピュータプログラムは、ミャンマーでは特許不可となります。また、人や動物の身体の治療方法、天然物由来の物質およびその新たな用途なども、特許性のある対象から除外されます。
注意すべきこととして、医薬品は2033年1月1日まで保護が適用されません。一方、農業使用の化学製品、食品、および微生物製品には2021年7月1日まで保護が適用されません。これらの例外は、後発開発途上国向けの「Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights」 (以降「TRIPS協定」) に基づき、特定の発明を免除するための延長移行期間に応じて規定されました。
特許の出願は、英語またはビルマ語で行い、登録官の指示に基づき証明書付きの翻訳文も必要となります。パリ条約に基づいて優先権を主張でき、出願人は出願から実体審査請求までに最長36ヶ月間の猶予があります。ミャンマー特許に対して、強制実施権を要求することも可能です。
一連の特許法が施行されると、組織的かつ包括的な特許制度を創造するための道が切り開かれ、より国際的な標準と法律の枠組みに適合させたミャンマーの整備を行うことができるでしょう。
この記事は、最初に2020年1月15日に「Managing IP」で公開されました。
この記事は最初に2020年2月13日に英語で公開されました
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