弊所の最近の記事「マレーシアの新商標法 (以降「新法」)に続き、2019年12月27日の正式な施行に基づき新法が発効したことをご報告いたします。
この新法における主要な変更点の概要をここに記載します。
- マドリッド議定書加盟により、ひとつの出願を1言語で行い、合計122ヶ国で商標登録を行うことが可能。
- 複数の国際分類にまたがる商品やサービスをカバーする、多区分出願が可能。
- 色彩、香り、音などの、非伝統的商標の承認。
- 組織や労働組合などの団体商標の承認。
- 担保権としての商標の承認。
- 商標権侵害の範囲の拡張。 登記官の印紙を添付した登録通知。
- 登録使用者の記録制度を法的承認を得たライセンシングと差し替え。
- 登録確定期間を7年から5年に短縮。
- 登録商標代理人とその者を代理人として任命した者の間の秘匿権
また、マレーシアの知的財産特許庁は、新法における法律および手続きをより詳細に理解するための新たなガイドラインも公開しています。それには、マレーシアの「Guidelines of Trademarks (Transitional Matters) 2019」、「Guidelines of Trademarks 2019」、および「Trademarks Regulations 2019」が含まれています。
最新の「Guidelines of Trademarks for Transitional Matters 2019」には特別に注意を払う必要があります。このガイドラインは、新法において商標登録を行いたい出願人を支援する目的で提供されています。これらのガイドラインで重要な事項を次に示します。
係属中の出願の変更
商標登録の出願が従来の1976年商標法 (以降「旧法」) 下で出願され、かつ新法施行の時点で登記官がその審査を行っていない場合、出願人は新法の条項に従って商標登録性を判断してもらえるよう、登記官に要請することが出来ます。この要請は新法開始の2ヶ月以内、つまり2020年2月27日より前に、行うことができます。
新法では商標の承認範囲が広がり、「標識」の定義も拡張されたため、出願人は係属中の出願の登録可能性を新法に基づいて審査してもらえるように、出願の変更を検討することができます。
譲渡の補正
譲渡の記録が申請されたものの、まだ決定されていない場合、登記官は当該出願を決定する前に、すべての要件が新法に準拠するように、登録所有者に対して譲渡の補正の提出を要求することができます。
上記の新要件の例を次に示します。
- 譲受人の名前と住所。
- 譲渡日。
- 当該商標権と関係する、譲渡する権利の説明。
- 譲渡の各当事者、またはその代理人の署名。
登記官が明確に要求しない限り、登録所有者が譲渡に対して次のような事項を追加または変更することは不可となります。
- 譲渡人および譲受人の両方の署名。
- 譲渡人および譲受人が正式に署名した譲渡証書。
- 登記官が納得する権原の証拠。
当該出願がすべての要件およびガイドラインに準拠している限り、登記官はそれを決定する必要があります。
登録ユーザーの補正
同様に、登録使用者としての記録の申請が行われているがまた決定されていない場合、登記官はすべての要件が新法に準拠するように、登録所有者にライセンスの補正を提出するよう、要求することができます。
上記の新要件の例を次に示します。
- 被許諾者の名前と住所。
- ライセンスが独占的かどうか。
- ライセンスが制限されている場合、制限の詳細。
- ライセンスの期間。
- 申請にはライセンスの譲与者またはその代理人の署名、または取引を成立させる証拠となる書類の添付が必要となります。
防護商標
新法下で出願人は、防護商標の登録出願を行うことができなくなりました。ただし、旧法下で登録された防護商標は、引き続き新法下でも既存の登録商標として取り扱われることに注意してください。
まとめ
上記の通り、この新法および新ガイドラインと新規制の施行により、マレーシアにおける商標の出願と登録は新たな時代を迎えました。これらの改正について更に詳しく知りたい場合は、どうぞ遠慮なくお問い合わせください。
この記事は最初に2020年1月8日に英語で公開されました
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