前回12月のアップデート(こちら)に続き、ニュージーランドで予定されている庁費用の変更に関する進展について報告します。予定されている費用変更の多くは、当初提案されていたもの(以前お知らせしたもの)と変わりはなさそうですが、いくつか注意を要する違いがあります。
この記事では、これらの変更がいつ施行されるのか、そして以前提案された庁費用とニュージーランド政府が最終的に承認した庁費用との違いについて説明します。
庁費用変更予定日
2019年3月11日、ニュージーランド内閣は、特許サービスのためにニュージーランド知的財産庁(IPONZ)に支払われるべき庁費用の変更を承認しました。これらの庁費用の値上げを有効にするために必要な特許規則 2014の改正案は現在起草中であり、実際の庁費用変更は2019年第3四半期より適用されると予想されています。
異なる超過クレーム費用
前回の記事でお伝えした通り、ニュージーランドでは超過クレーム費用が発生します。当初提案された超過クレーム費用は、実体審査請求を行う際に支払いが必要となり、30項を超える10項(またはその一部)ごとにNZ$200でした。しかし、内閣によって承認された案は、はるかに複雑です。
施行された場合、超過クレーム費用は、審査中のいかなる時点で30項を超えるクレームがあった全ての出願の受理時に支払いが必要となります。超過クレーム費用は、審査中に審査対象とされた最大クレーム数に基づいて計算されます。支払うべき費用は、30項のクレームを含む明細書についてはNZ$120、30項のクレームを超える場合、1セット5項のクレームからなるセット毎につき、さらにNZ$120となります。
この計算方式を理解するためには、IPONZ提供の解説用事例を適用した、以下の説明が参考になるかもしれません:
C社は、2019年9月に29項のクレームを含む出願に対して審査請求をしました。審査報告書に対する応答として、12項の新規クレームを追加するための補正がなされ、それによりクレームの数は41項に増加しました。その後、新規クレームに対して拒絶理由が挙げられたため、それらが削除され、最終的に29項のクレームで受理されました。
新案によりますと、審査請求前および受理時にクレーム数が30項未満であったにもかかわらず、上記事例で支払われる超過クレーム費用はNZ$360(クレーム30項のNZ$120+クレーム第31-35項のNZ$120+クレーム第36-40項のNZ$120、クレーム第41項の費用はなし)となります。
上記の超過クレーム費用は、規則改正後に審査請求が行われるようになった、2013年法下の出願手続きにのみ適用されると予想されます。審査請求の費用がNZ$500からNZ$750に値上げされることと併せて、出願済みのニュージーランド出願の審査請求の時期を、遅らせるよりもむしろ早める必要があるかどうかは検討に値するでしょう。費用の変更が施行された際には、審査請求時にクレーム数を30項未満に減らすようクレームの補正を検討することを推奨します。
1953年法の特許および出願の年金
以前報告したように、年金の実質的な値上げは、以前の法律(Patents Act 1953:以下“1953年法”)下で現在手続き中の全ての特許および出願について提案されました。これら1953年法下の出願について分割出願を出願し続ける(1953年法には5年の期限がないため)という慣行を断念させることが、この変更の目的でした。
しかし、1953年法下の出願および特許に対して支払われる年金の値上げは、今回の変更で導入されることはないでしょう。これは、この変更が1953年法のすべての出願に適用されることになるため、意図しない結果を招く可能性があるためです。この変更には議会の承認が必要となるため、内閣は現行の2013年法の暫定規定を改正するほうを望んでいます。これらの変更は、他に予想される分割出願に関する規定変更と共に、待望のIP総括改正法案に導入され、後日議会に提出される可能性が高いと考えられます。
2013年法下の特許および出願に対する年金の変更はそのまま導入され、4〜9年目はNZ$200、10〜14年目はNZ$450、そして15〜19年目はNZ$1000の値上げが予定されています。
総括
庁費用の値上げ、および超過クレーム費用の計算に対して予想される混乱を避けるため、出願済みのニュージーランド特許出願に対する審査請求は2019年 9月頃に予定されている特許規則2014の改正が施行される前に行うことが望ましいでしょう。
これら変更について、さらに情報をご希望の際には、弊所までお問い合わせください。
この記事は最初に2019年4月23日に英語で公開されました
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