2022年1月17日現在、商標審査がグローバルな商標庁基準と確実に足並みを揃えることを目標にする新しい登録官の審査マニュアル(「審査マニュアル」)が既存の指針を置き換えました。
変更されたもののいくつかは以下のように要約されます。
形式要件
認証された委任状(「POA」)を求める従来の要件に基づけば、使用される書式または文言に関して登録官が裁量を有します。今回、新しい審査マニュアルによると書式または文言が標準化され、出願人の管轄区域(または登記地)を含まなければなりません。例えばオーストラリアの法律に基づいて正式に設立され現存する法人、スプルーソン・アンド・ファーガソン(SPRUSON & FERGUSON)非公開株式有限責任会社。
POAを認証する公証人は、出願人と同じ国籍である必要はありませんが、認証の時点で同じ国に居なければなりません。
識別性に関する明確さ
審査マニュアルの今回の改訂の前に、商標が識別可能であるかどうかについて決定することは、審査する登録官のおおまかな個人裁量に強く依存し、そのことが一貫性を欠く決定を生む結果となっていました。従来の審査実務によると、ほとんどの管轄区域において識別可能だった標章がタイでは識別性テストに合格せず、登録可能ではありませんでした。新しい審査マニュアルによると、識別性に関するテストを明確にするために最高裁判所の判決が採用されました。
A.文字商標
一般的でなく、叙述でなく、標準的な順序(すなわちABC、123)でもなく、4つ以上の標準文字を含む文字商標は識別可能であり登録可能であるとみなされます。例えば、以下のものです。
従来であれば、そのような性質の標章は、特定の方法で出願されるかまたは使用を通じて識別性を獲得したことを示さなければなりませんでした。
B.一般的な標章
今回の審査マニュアルは、識別可能でなく登録することができない一般的な標章の例を規定しています。
- 一般的な語/用語:International、Global、Warranty、First、Second、ABC、123、3D、4D
商品/サービスの明細書
タイは、ニース分類を採用していますが、明細書は、明確かつ特定的でなければならず、広義の用語は許可されません。新しい審査マニュアルに基づけば、あらゆる項目は明確に特定され、項目化されなければならず、第5類の栄養補助食品や第33類のアルコール飲料(ビールを除く)などの広義の用語は許容されないことも明確にされました。許容される文言は、ミネラルで作られた栄養補助食品のように主成分を特定するか、またはワイン;ジン;ウィスキーのように各項目を明確に特定しなければなりません。参考までに、https://tmsearch.ipthailand.go.th/ において承認される商品/サービスの一覧にアクセスすることができます。
さらに、明細書拒絶に対して3回の応答機会しかなく、2回目の応答の後に、3回目の拒絶に対しては、出願人が登録官の提案の全面的な許容、あるいは拒絶に対する全面的な異議申立て(補正は許されない)のいずれかを提出する必要があります。
結論
全体として、新しい審査マニュアルと国際的な実務との一致は、タイにおける保護を求めるブランドオーナーにとって有望な展開です。タイにおいて以前に識別可能な標章が拒絶されたことがある場合、新しいガイドラインに基づいてそれらの標章が識別性基準を満たすなら、それらの標章を再出願する機会があり得ます。また、今後タイの審査官が出願を審査する際には新しい審査マニュアルを採用しますので、示される拒絶の数も減少すると予測されます。タイにおける審査マニュアルおよび知財全般についてさらに情報をお求めの場合、弊所の商標チームにご連絡ください。
この記事は最初に2022年5月26日に英語で公開されました
弊所では一般的なお問い合わせや見積もりの際にご利用いただける日本語担当窓口を用意致しております。
日本語のお問い合わせを直接 JapaneseDesk@spruson.com 宛にお送りください。技術系のバックグラウンドを持つ日本語窓口担当者が迅速にお返事致します。
出願のご指示等につきましては、通常のメールアドレスに英語でお送りいただけると幸いです。