以前のニュース記事でお知らせしましたとおり、出願人が、他国で得た肯定的な最終審査結果、もしくは国際予備報告(IPRP)の肯定的な審査結果に依拠して補充審査請求を行う「外国ルート」は、2020年1月1日をもって廃止されます。これにより、シンガポールの特許出願の取り扱いに大きな影響が生じる可能性があります。
知っておくべき注意事項
- 2020年1月1日の時点で出願中、もしくは2020年1月1日以降にシンガポールへ国内移行予定だが国際出願日はそれより前の案件に関しては、継続して「外国ルート」の選択が可能です。
- このような案件は、2020年1月1日より前に率先して補充審査請求をする必要はありません。
- 国際出願日が2020年1月1日より前でかつシンガポールへ国内移行が予定されている案件は、2020年1月1日の時点でシンガポールへの移行が完了していなくとも、「外国ルート」を選択することができます。
- 現地出願(例:シンガポールでの出願が第一国出願、もしくはパリルート出願)で出願受領日が2020年1月1日またはそれ以降のものについては、「外国ルート」は選択不可となります。
- このような出願に対し、現時点で利用可能な審査ルートの選択肢の保持を希望される場合は、2020年1月1日より前に出願を行うことをご検討ください。
- 分割出願で出願受領日が2020年1月1日またはそれ以降のものについては、「外国ルート」は選択不可となります。
- 現時点で利用可能な審査ルートの選択肢を保持する為にも、出願人は必要に応じて2020年1月1日よりも前に分割出願を行うことをご検討ください。例えば、現在出願中の案件で「外国ルート」を望んでいるのに、対応外国出願の特許査定が今年末までに得られないようであれば、権利化手続きを係属させるためにも、速やかに分割出願を行うことを推奨致します。シンガポールでは、分割出願における全ての審査請求期限は分割出願の出願受領日から起算される為、分割出願を行うことにより、対応外国出願の審査結果を待つのに十分な期間が確保できます(なお、現時点では、補充審査の請求期限は分割出願の出願受領日から54ヶ月となっています)。
実務改正後のシンガポール弁理士の役割
外国ルート廃止後の審査方式は「現地ルート」のみとなり、総合調査及び審査の請求、もしくは対応する調査報告書に基づいた審査の請求、のいずれかのみとなります。出願後はシンガポールの審査官により実体審査が行われ、シンガポール特許法に基づき特許性の必要条件を満たすかどうかが決定されます。見解書に対する応答においても実体的な対応が基本となり、技術的な問題においても、審査官との面接をより頻繁に行うことにより解決し、規定の期間内に好ましい審査結果を出していくことが増えるでしょう。その為、出願を扱う弁理士が、該当する分野の知識や技術を持ち合わせていることが重要となってきます。弊所Spruson & Ferguson (Asia)のチームには、それぞれ技術資格を持ち専門分野での経験が豊富でありながら、シンガポール特許法にも精通する、30人以上もの特許業務のプロがおります。安心してお任せください。
今回の実務改正においてご不明な点、またはシンガポールで出願中の案件について弊所でお手伝いできることがございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。
この記事は最初に2019年9月17日に英語で公開されました
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