シンガポールにおけるグラフィカルユーザインタフェース (GUI) の意匠保護

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2014年5月21日の記事において、シンガポール知的財産庁(IPOS)がシンガポールの意匠法見直しに関して意見公募をしているとお伝えしました。IPOSがフィードバックを求める論点の一つは、シンガポール意匠法における「意匠」の定義を変更して、他の種類の意匠、例えばグラフィカルユーザインタフェース(GUIs)、間取り図、コンピュータ生成画像等を含めるかどうかでした。

つい最近になって、2014年12月10日にIPOSはシンガポールで意匠としてGUIsを登録する際に採用される運用指針を規定する実施細則を発行しました。実施細則の主な点は以下にまとめた通りです。

1. 意匠の名称
「意匠」の定義を満たすには、GUIは産業上のプロセスによって物品に適用されなければなりません。したがって、出願人は、GUIの意匠出願時にGUIが適用される物品を示さなければなりません。例えば電子ディスプレイ及び当該電子ディスプレイに適用されるグラフィカルユーザインタフェースとします。

2. 動画のGUI
動画のGUIまたは動的なGUIは、各々が動作中のGUIの固定されたフレームを示す、連続順の一連の静的な表示として意匠出願することができます。出願人はGUIの要素を明確に説明するために、各表示の説明文を提供することができます(例えばそれらがどのようにアクティベートされ、どのようにインタラクションをし、GUIのみが「ON」状態になるかどうか、あるGUI要素がユーザインタラクションに続いて生じるかどうか等)。

3. 図面の数
GUIの意匠出願は意匠を完全に説明するために十分な数の異なる図面を含むべきですが、図面数は40を超えてはなりません。動的なGUI一つに対しては、少なくとも2つの図面が提出されなければなりません。

実施細則の詳細につきましては以下のリンク先を御覧ください。
https://www.ipos.gov.sg/Portals/0/Practice%20Direction%20No%20%204%20of%202014%20-%20GUIs.pdf.

実施細則により、シンガポール意匠法の下でGUIを意匠として登録することが可能であると明らかになりました。関連する法律がまだ改正されていない中で、本実施細則は明確な指針を提示しました。シンガポールにはGUIに関連する意匠登録が多くありますが、これらの登録内容が実際に登録可能なものであるかどうかは不明確でした。この点については、各シンガポール意匠出願に対して方式的な審査のみが行われ、GUI意匠の妥当性がシンガポールの裁判所おいて考慮されていないということを留意すべきです。

シンガポール以外にも、この地域では中国、タイ、フィリピン、スリランカのような多くの国々でGUIの意匠登録が可能となっています。この分野に関連して何かご質問等あれば、ご遠慮なくお問い合わせください。

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