スプルーソン&ファーガソンの意匠グループは、長年にわたり、数多くの企業が国内外で意匠権を取得するのをサポートしてきてました。当グループは、自動車、工業、家具意匠、ホームウェア、ファッションおよび包装業界において、世界でも最大級の企業の意匠出願を取り扱っております。当事務所意匠チームは、スプルーソン&ファーガソンロイヤーズとともに、意匠訴訟にも携わってきました。

当事務所が提供する登録意匠に関する包括的なサービスは、以下を含みます。

  • 意匠出願
  • 意匠出願に関するあらゆる手続き
  • 意匠調査
  • 侵害に関するアドバイス
  • 意匠審査状況監視、新規性および侵害調査
  • 意匠登録および有効性に関するアドバイス
  • 意匠登録年金の更新
  • 取消手続き
  • 登録可能な取引の記録
  • 意匠の国際登録
意匠チーム主要メンバー
Singapore, Singapore
Le Hong Minh
Principal, Director Singapore, Engineering Practice Group Leader Asia
Patents: Engineering & ICT, Designs
+65 6333 7200 minh.le@spruson.com
Le Hong Minh graduated from a joint program between the National University of Singapore and Eindhoven University of Technology with a Master of Technological Design degree, specialising in product…
Le Hong Minh graduated from a joint program between the National University of Singapore and Eindhoven University of Technology…
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Singapore, Singapore
山本夏帆 (博士)
パートナー弁理士
化学・生命科学チーム
+65 6333 7200 natsuho.yamamoto@spruson.com
スプルーソン&ファーガソン(アジア)に入社する前はアメリカ合衆国シカゴのノースウェスタン大学でポスドクをしていました。そこで、活性サイトにヒスチジンがあるたんぱく質(ジンクフィンガー転写因子やマトリックスメタロプロテアーゼ、そしてメタロ—β—ラクタマ—ゼなど)を選択的に抑制するコバルト錯体について研究していました。錯体の合成やそれらの生体検査などを行っていました。 学士号はオーストラリアのシドニー大学の理学部より医療生無機化学の分野で取得しました。その後シドニー大学、そしてドイツのルール大学ボーフムにおいて腫瘍の独特な微小環境により活性化するプロドラッグについて博士研究を行いました。低酸素環境において選択的にリガンドを解放するコバルト錯体の開発と検査、および腫瘍特有の酵素の存在下のみ細胞に入り込むペプチドに関する論文で博士号を取得しました。 シンガポール特許代理人登録簿に日本人として初めて登録されました。
スプルーソン&ファーガソン(アジア)に入社する前はアメリカ合衆国シカゴのノースウェスタン大学でポスドクをしていました。そこで、活性サイトにヒスチジンがあるたんぱく質(ジンクフィンガー転写因子やマトリックスメタロプロテアーゼ、そしてメタロ—β—ラクタマ—ゼなど)を選択的に抑制するコバルト錯体について研究していました。錯体の合成やそれらの生体検査などを行っていました。 学士号はオーストラリアのシドニー大学の理学部より医療生無機化学の分野で取得しました。その後シドニー大学、そしてドイツのルール大学ボーフムにおいて腫瘍の独特な微小環境により活性化するプロドラッグについて博士研究を行いました。低酸素環境において選択的にリガンドを解放するコバルト錯体の開発と検査、および腫瘍特有の酵素の存在下のみ細胞に入り込むペプチドに関する論文で博士号を取得しました。 シンガポール特許代理人登録簿に日本人として初めて登録されました。
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最新のニュースと洞察
オーストラリアにおける仮想商品およびNFTの商標分類
NFT、実世界の製品および商標庁実務との複雑な関係に関する弊所の最近の記事に引き続き、2023年8月10日、IPオーストラリア(旧称・オーストラリア知的財産庁)は、NFTおよび仮想商品を含む先端技術の商標分類に関する新しいガイダンスを発表しました。仮想商品、NFTおよびブロックチェーン技術について商標登録を求めることに関し、IPオーストラリアは、以下の指針を規定しました。
NFT、実世界の製品および商標庁実務との複雑な関係に関する弊所の最近の記事に引き続き、2023年8月10日、IPオーストラリア(旧称・オーストラリア知的財産庁)は、NFTおよび仮想商品を含む先端技術の商標分類に関する新しいガイダンスを発表しました。仮想商品、NFTおよびブロックチェーン技術について商標登録を求めることに関し、IPオーストラリアは、以下の指針を規定しました。
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あなたのブランドにフリーキックはありません―FIFA女子ワールドカップ期間中のブランドオーナーのためのガイド
FIFA女子ワールドカップ®が主催国オーストラリアおよびニュージーランドで公式に開催中であり、視聴者数は地球規模で20億人に達すると予測されます。 それほど多くの眼が同じ方向に向けられますと、もちろんブランドオーナーにとってスポットライトの取り分を得る魅惑的な機会があります。しかし、誰もがスタジアムの門に自らのロゴを塗り始める前に、どのマーケティング戦略が問題無いのか、どれがトラブルへの暴走、スパイク上向き行為なのか時間をかけて考える価値があります。 以下は、このFIFA女子ワールドカップ®期間中にブランドオーナーがファールをせずにマーケティングゴールを獲得する助けとなる簡単なガイド(あまりウケない言葉遊びを軽く散りばめました)です。 考えるべき最初の問題は、FIFA女子ワールドカップ®がパートナー、サポーターおよびスポンサーの形で一連の公式アフィリエイト(affiliates)を有することです。これらのアフィリエイトは、典型的に、ワールドカップとのパートナーシップにおいて自らのブランディングをどのように用いることができるかについて特別な権利を与えられる協定を結んでいます。アフィリエイトは、もちろん、いかなる不当な影響からも自らの投資を安全に保ち、自らの独占権を確保するために強いバックラインを設定する権益を有します。 自らのブランドを(協定によって)FIFA女子ワールドカップ®と結びつける立場にないブランドオーナーは、故意にまたはうっかりFIFA®の知的財産を使用したり、自らをFIFA®またはワールドカップのアフィリエイトとして振る舞わないように注意しなければなりません。そんなことをする当事者は、多くの場合に『待ち伏せマーケティング』といわれるファールを犯した廉で有罪になることがあります。 待ち伏せマーケティングは、公式スポンサーシップ協定を結ばないまま、人気のあるイベントによって発生する宣伝および注目を利用することを含みます。これは、公式スポンサーシップの財政的重荷を負うことなくイベントに関連する個人による巧妙な広告キャンペーンまたはブランド是認などの様々な手段によって実現することができます。 待ち伏せマーケティングの行為は、微妙または公然になり得ます。有名な例として、南アフリカにおける2010FIFA男子ワールドカップ®でオランダ人ファンの一団に対し、FIFA®当局者がライセンスを結んでいないビールブランドを促進するためにオレンジの衣装を着ていたとして非難し、オランダ対デンマークの試合から排除したことがあります。この事例では、待ち伏せマーケティングには主観性の要素があることを強調します。つまりマーケティングに関しては用心深く、ルールを守ってプレーする理由となります。 ペナルティーを生む結果となる可能性のある、それほど派手でない問題行為は他にも例として、試合中のスタジアムの内外における無許可の路上売買、またはFIFA®または女子ワールドカップロゴおよび標章の近くに営利目的で注意を惹くために自身のブランドの画像をオンライン掲示すること、などを含みます。 営利目的で別の企業のブランディングを無許可で使用することは、多くの場合に商標侵害の明確な事例を構成します。しかし、FIFA女子ワールドカップ®の間、イベント主催者には追加の保護層があります。メジャーイベントマネージメント(FIFA女子ワールドカップオーストラリアおよびニュージーランド2023)法令2022は、FIFA女子ワールドカップ®が『メジャーイベント』であると宣言しました。『メジャーイベント』に関する法律は、オーストラリアにおいては州および特別地域によって支配され、ニュージーランドにおけるメジャーイベントは、メジャーイベントマネージメント法2007によって支配されます。これらの法律は、一般に、関連当局の同意のないメジャーイベントの公式名称または公式標章の営利目的での使用を明示的に禁止する規定を含んでいます。 しかし、グラウンドがちょっとデコボコしているからといってブランドオーナーが試合を放棄することはありません。レフェリーに笛を吹かれないでFIFA女子ワールドカップ®を称えるたくさんの方法があります。FIFA®は、FIFA®知的財産を組み込まないジェネリックなサッカーまたは国に関連する画像および/または用語を使用することを勧めています。ブランドオーナーは、これを柔軟に考え、試合または特定の国を応援することを示す賢い方法を発明できる機会として見ることができます。自身のブランドをイベントのパートナーとしてではなく、興奮をシェアする試合のファンとして取り扱いましょう。 あなたのマーケティング戦略がトラブルの元になるかどうかに少しでも疑いがあるなら、わたしたちの知的財産専門家チームにご連絡ください。喜んでお手伝いします。 そんなわけで…それゆけ、サッカーオーストラリア女子代表のMatildas! この記事は最初に2023年7月28日に英語で公開されました 弊所では一般的なお問い合わせや見積もりの際にご利用いただける日本語担当窓口を用意致しております。 日本語のお問い合わせを直接 JapaneseDesk@spruson.com 宛にお送りください。技術系のバックグラウンドを持つ日本語窓口担当者が迅速にお返事致します。 出願のご指示等につきましては、通常のメールアドレスに英語でお送りいただけると幸いです。
FIFA女子ワールドカップ®が主催国オーストラリアおよびニュージーランドで公式に開催中であり、視聴者数は地球規模で20億人に達すると予測されます。 それほど多くの眼が同じ方向に向けられますと、もちろんブランドオーナーにとってスポットライトの取り分を得る魅惑的な機会があります。しかし、誰もがスタジアムの門に自らのロゴを塗り始める前に、どのマーケティング戦略が問題無いのか、どれがトラブルへの暴走、スパイク上向き行為なのか時間をかけて考える価値があります。 以下は、このFIFA女子ワールドカップ®期間中にブランドオーナーがファールをせずにマーケティングゴールを獲得する助けとなる簡単なガイド(あまりウケない言葉遊びを軽く散りばめました)です。 考えるべき最初の問題は、FIFA女子ワールドカップ®がパートナー、サポーターおよびスポンサーの形で一連の公式アフィリエイト(affiliates)を有することです。これらのアフィリエイトは、典型的に、ワールドカップとのパートナーシップにおいて自らのブランディングをどのように用いることができるかについて特別な権利を与えられる協定を結んでいます。アフィリエイトは、もちろん、いかなる不当な影響からも自らの投資を安全に保ち、自らの独占権を確保するために強いバックラインを設定する権益を有します。 自らのブランドを(協定によって)FIFA女子ワールドカップ®と結びつける立場にないブランドオーナーは、故意にまたはうっかりFIFA®の知的財産を使用したり、自らをFIFA®またはワールドカップのアフィリエイトとして振る舞わないように注意しなければなりません。そんなことをする当事者は、多くの場合に『待ち伏せマーケティング』といわれるファールを犯した廉で有罪になることがあります。 待ち伏せマーケティングは、公式スポンサーシップ協定を結ばないまま、人気のあるイベントによって発生する宣伝および注目を利用することを含みます。これは、公式スポンサーシップの財政的重荷を負うことなくイベントに関連する個人による巧妙な広告キャンペーンまたはブランド是認などの様々な手段によって実現することができます。 待ち伏せマーケティングの行為は、微妙または公然になり得ます。有名な例として、南アフリカにおける2010FIFA男子ワールドカップ®でオランダ人ファンの一団に対し、FIFA®当局者がライセンスを結んでいないビールブランドを促進するためにオレンジの衣装を着ていたとして非難し、オランダ対デンマークの試合から排除したことがあります。この事例では、待ち伏せマーケティングには主観性の要素があることを強調します。つまりマーケティングに関しては用心深く、ルールを守ってプレーする理由となります。 ペナルティーを生む結果となる可能性のある、それほど派手でない問題行為は他にも例として、試合中のスタジアムの内外における無許可の路上売買、またはFIFA®または女子ワールドカップロゴおよび標章の近くに営利目的で注意を惹くために自身のブランドの画像をオンライン掲示すること、などを含みます。 営利目的で別の企業のブランディングを無許可で使用することは、多くの場合に商標侵害の明確な事例を構成します。しかし、FIFA女子ワールドカップ®の間、イベント主催者には追加の保護層があります。メジャーイベントマネージメント(FIFA女子ワールドカップオーストラリアおよびニュージーランド2023)法令2022は、FIFA女子ワールドカップ®が『メジャーイベント』であると宣言しました。『メジャーイベント』に関する法律は、オーストラリアにおいては州および特別地域によって支配され、ニュージーランドにおけるメジャーイベントは、メジャーイベントマネージメント法2007によって支配されます。これらの法律は、一般に、関連当局の同意のないメジャーイベントの公式名称または公式標章の営利目的での使用を明示的に禁止する規定を含んでいます。 しかし、グラウンドがちょっとデコボコしているからといってブランドオーナーが試合を放棄することはありません。レフェリーに笛を吹かれないでFIFA女子ワールドカップ®を称えるたくさんの方法があります。FIFA®は、FIFA®知的財産を組み込まないジェネリックなサッカーまたは国に関連する画像および/または用語を使用することを勧めています。ブランドオーナーは、これを柔軟に考え、試合または特定の国を応援することを示す賢い方法を発明できる機会として見ることができます。自身のブランドをイベントのパートナーとしてではなく、興奮をシェアする試合のファンとして取り扱いましょう。 あなたのマーケティング戦略がトラブルの元になるかどうかに少しでも疑いがあるなら、わたしたちの知的財産専門家チームにご連絡ください。喜んでお手伝いします。 そんなわけで…それゆけ、サッカーオーストラリア女子代表のMatildas! この記事は最初に2023年7月28日に英語で公開されました 弊所では一般的なお問い合わせや見積もりの際にご利用いただける日本語担当窓口を用意致しております。 日本語のお問い合わせを直接 JapaneseDesk@spruson.com 宛にお送りください。技術系のバックグラウンドを持つ日本語窓口担当者が迅速にお返事致します。 出願のご指示等につきましては、通常のメールアドレスに英語でお送りいただけると幸いです。
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重要なCRISPR特許上訴でのTOOLGENの失敗
オーストラリア連邦裁判所は、オーストラリアの重要なCRISPR特許紛争において判決を下し、ToolGen社の特許出願において土台となるCRISPR技術についてのクレームは何れも有効でないと判断しました。この訴訟は、第1の被告-グラント・フィッシャーという名の名目上の関係者-がToolGenの出願への特許権付与に対する異議申立に成功したとする特許庁長官の決定に端を発する上訴です。 特許出願 本件は、CRISPR/Casシステムおよび真核細胞中の標的核酸配列において部位特異的二本鎖切断を導入するそれらのシステムの使用に関するToolGenの出願に関するものでした。 この出願は、2013年10月23日に出願され、3件の仮出願からの優先権を主張しています。 2012年10月23日出願の米国特許仮出願第61/717,324号(「P1」); 2013年3月20日出願の米国特許仮出願第61/803,599号(「P2」);および 2013年6月20日出願の米国特許仮出願第61/837,481号(「P3」)。 この出願は、2つの独立クレームを含みます。 クレーム1. 真核細胞中の標的核酸配列において部位特異的な二本鎖切断を導入する際に使用されるII型クラスター化規則的間隔配置短鎖回文繰り返し(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)(CRISPR)/Casシステムを含み、前記CRISPR/Casシステムは、(i)核局在化配列を含むCas9ポリペプチドをコードする核酸と、(ii)標的核酸に交雑するガイドRNAをコードする核酸と、を含む組成物であって、前記ガイドRNAは、trans活性化crRNA(tracrRNA)部分に融合したCRISPR RNA(crRNA)部分を含むキメラガイドRNAである組成物。 クレーム10. 真核細胞中の標的核酸配列において部位特異的な二本鎖切断を導入する方法であって、前記真核細胞中にII型クラスター化規則的間隔配置短鎖回文繰り返し(CRISPR)/Casシステムを導入することを含み、前記CRISPR/Casシステムは、 (a)核局在化シグナルを含むCas9ポリペプチドをコードする核酸であって、前記核酸は、真核細胞中で発現するためにコドン最適化されている核酸と、 (b)前記標的核酸と交雑するガイドRNAをコードする核酸と、 を含み、前記ガイドRNAは、trans活性化crRNA(tracrRNA)部分と融合したCRISPR RNA(crRNA)部分を含むキメラガイドRNAであり、前記標的核酸配列は、前記crRNA部分に結合する第1の一本鎖と、トリヌクレオチドプロトスペーサ隣接モチーフ(PAM)を有する第2の一本鎖とを含み、前記Cas9ポリペプチドと前記ガイドRNAとは、前記真核細胞中でCas9/RNA複合体を形成し、それによって標的核酸配列において部位特異的な二本鎖切断が導入される方法。 有効性の根拠のいくつかは、両独立クレーム中の用語「ガイドRNAをコードする核酸」の意味に依拠していました。ToolGenは、これらの用語の広義の解釈を求め、それが真核細胞中でRNAに転写されるDNAと真核細胞中に導入される前にインビトロで転写されるRNAとの両方を含むと主張しました。 ToolGenは、動詞「コードする」は、(DNAからRNAへの転写のプロセスによって)ガイドRNAを製造するための配列を提供すること、ならびにガイドRNAがその機能を発揮することを可能にする配列を提供することの両方を意味することができると主張しました。 ToolGenは、クレーム19に多く依存し、クレーム19は、クレーム10とともに読まれると、ガイドRNAをコードする核酸は、インビトロ転写されたRNAであることを必要としました。 クレーム19. 前記ガイドRNAをコードする核酸は、インビトロ転写されたRNAである、クレーム10~16の何れか一項に記載の方法。 ニコラス判事は、これらの主張を却下し、クレーム10は、全体としての明細書の文脈で読まれると、このクレームが、核酸は、ガイドRNAをコードする方法に限定されること、およびガイドRNAは、真核細胞中の核酸から転写されることを示していると判断しました。 同判事は、用語「コードする」は、当業者によって理解されるその通常の意味を与えられるべきであると判断しました。 「私の意見では、用語「コードする」は、クレーム10において、転写および翻訳によるCas9ポリペプチドの製造と、細胞中の転写によるガイドRNAの製造と、を指すその通常の意味(すなわち分子生物学者によって理解される)で用いられている。本クレームにおいて参照される核酸は、ガイドRNAを製造するために細胞中で用いられる情報を提供する。クレーム10は、既存のガイドRNAが細胞に導入されるシステムを包含しない。」 この解釈の結果、クレーム19は、妥当にクレーム10とともに読まれることはできず、明確性に欠けると判断されました。 優先権主張日 本上訴の審理は、これらのクレームにP1を基礎とする優先権の資格がなければ、P3の出願によって成立した2013年6月20日が適用されるという前提で行なわれました。P2は、単に制限断片長多形解析においてRNA誘導エンドヌクレアーゼを用いる方法に関係し、本特許出願中のクレームの何れかに記載の発明を開示しているとはみなされませんでした。 P1は、比較的短い文献であり、いかなるクレームも含まず、雑誌記事のようなものに「発明の概要」という追加の表題をもつ段落が加えられたものでした。P1に記載されたCRISPR/Cas9システムは、ストレプトコッカス・ピロジェネスから誘導され、インビトロ製造されたtracrRNAと融合したcrRNA部分を含む単一キメラガイドRNAを用いていました。P1は、ガイドRNAをインビトロ転写するために細胞中にDNA(またはウィルスRNA)が導入されるシステムを開示していませんでした。P1は、また、他のどの細菌種がII型CRISPR/CAsシステムを有するか、またはそのような種について内因性crRNAおよびtracrRNA配列をどのように決定するかも記載していませんでした。 そこで、問題は、P1の開示がToolGenの出願中のクレームの何れかについて優先権主張日を証明するために十分であるかどうかということでした。 オーストラリアにおける優先権主張日の検証は、開示の十分性についての検証と同じです。つまり、クレームされる発明を、当業者によってその発明が実施されるために十分に明確であり、かつ十分に完全であるように、先願が開示しているという前提で、各クレームには先願からの優先権を主張する資格があります。 「ガイドRNAをコードする核酸」という文言に関して、判事は、優先権主張日に周知であった標準的な技法を用いてガイドRNAをインビトロで製造するためにガイドRNAをコードするプラスミドを用いることは、技術常識とともにP1中の情報を有す分子生物学者にとって難しい業務ではないことを認めました。判事は、また、当業者にとって、細胞中でガイドRNAを発生させる手段としてガイドRNAをコードするプラスミドDNAを用いることができることは、自明であることを認めました。 しかしながら、P1は、クレームにおいて定義されるガイドRNAをコードするDNA(またはウィルスRNA)の使用を開示せず、インビトロで製造され、次に細胞中に導入されるガイドRNAを開示しました。判事は、P1は、ToolGenの出願においてクレームされたものと同じ発明を開示せず、したがってクレームの何れにもP1からの優先権を主張する資格がないと判断しました。 「クレーム1および10(およびクレーム19を除く従属クレーム)は、クレームのガイドRNAが核酸(DNAまたはウィルスRNA)の形で細胞に導入され、次いで真核細胞中でガイドRNAをコードする発明を目的としている。P1は、明示的にも非明示的にも何れかのそのようなシステムを開示していない。したがってそれらのクレームに、P1を根拠とする優先権の資格がない。」 次の問題は、S.ピロジェネス以外の細菌種から誘導されるCas9ポリペプチドを用いてDNAを切断するためのシステムを、クレームされる発明が当業者によって実施されるために十分に明確であり、かつ十分に完全であるように、P1が開示しているかどうかでした。P1がS.ピロジェネスから誘導されるCRISPR/Cas9システムを開示したというのが当事者間の共通認識でした。ニコラス判事は、P1が一般的な意味で他の細菌種から誘導されるCas9タンパク質の存在とそれらが真核細胞中のDNA切断を媒介するために用いられ得るという可能性とを開示していることを認めました。 しかし、他の細菌種から誘導されるCas9タンパク質を用いる可能性は、それ ― 単なる可能性 ― として記載されただけでした。P1は、この可能性についてのそれ以上のいかなる考察も含まず、他の細菌種から誘導されるすべてのまたはいくつかのII型Cas9タンパク質が真核細胞中のDNA切断を媒介するために特定のPAMとともに機能すると合理的に予測することができると推論され得るいかなる証拠も注釈も提示しませんでした。 さらに、S.ピロジェネスがII型CRISPR/Casシステムを有する他の細菌種の代表である可能性が高いこと、またはS.ピロジェネス由来成分を用いた実験の結果が他の細菌種から誘導されるCas9ポリペプチドも真核細胞中のDNAを切断することができると推測するための何れかの合理的な科学的根拠を提供すること、を示すものはP1において何も開示されませんでした。 その文脈において、証拠は、S.ピロジェネス以外の何れかの特定の細菌種から誘導されるCRISPR/Cas9システムが真核細胞中で機能するか否かについて相当な不確かさがあること、および真核細胞中のこのシステムの使用を検証するためにかなりの実験研究が行われる必要があることを示しました。 判事は、優先権主張日において、当業者(またはチーム)がS.ピロジェネス以外の細菌種を用いてクレーム1および10の発明を実施するために行う必要がある研究は、かなりの研究プロジェクトを含むと判断しました。 「私の意見では、当業者のチームは、長期の研究および実験を行う必要があり、途上においてかなりの困難に逢う可能性が非常に高い。この研究の多くは非日常業務的であり、その実行状況においてP1は意味のある指針または方向および成功の保証は提供しなかった。」 「優先権主張日現在、真核細胞中のゲノム編集を専門とする分子生物学者と原核生物中のCRISPR/Casシステムにおける専門知識を有する微生物学者とを含む当業者チームが、過度の負担なしでS.ピロジェネス以外の細菌種を用いてクレーム1の組成物を作ることまたはクレーム10の方法を実施することをP1は可能にしていなかったと確信する。」 ガイドRNA自体に関して、P1は、tracrRNA部分に融合したcrRNA部分を含む単一キメラガイドRNAを、それがどのようにして設計されたかまたはその長さがどのように変えられる可能性があるかについていかなる情報も提供せずに開示しました。 ニコラス判事は、P1に開示されている単一ガイドRNAを再設計することまたはS.ピロジェネス以外の細菌種を用いて単一ガイドRNAを設計および構築することは、当業者にとって過度の負担であるとみなしました。 判事は、P1は、クレームされた発明を、発明が当業者によって実施されるために十分に明確かつ十分に完全であるように開示することができていないと判断しました。クレームのどれにもP1からの優先権を主張する資格がありませんでした。 実施可能性 1990年特許法(Cth)の第40条(2)(a)は、完全な明細書は、発明が当業者によって実施されるために十分に明確であり、かつ十分に完全であるように発明を開示しなければならないとしています。実施可能性のための要件は、他の裁判所管轄区域、特にヨーロッパおよび英国において適用可能なものに似ています。 被告は、本特許出願が、P1とは異なり、「ガイドRNAをコードする核酸」を含む発明を開示していることを認め、クレームの発明が、この特定の点において、十分に実施可能でないと主張しませんでした。 しかしながら、本特許出願中に開示されている実施例のどれも、S.ピロジェネス以外のいかなる種からのCRISPR/Cas9成分も使用しませんでした。被告は、本特許出願は、S.ピロジェネス以外の細菌種から誘導されるシステムを含む発明を過度の負担なしでは実施可能にしないと申し立てました。判事は、P1に関して示された理由によりその申し立てを基本的に認めました。 同様に、ガイドRNAに関し、そのtracrRNA成分を含むsgRNAの設計に関してP1の開示と本特許出願との間に実質的な差はないとみなされました。よって、判事は、本特許出願には、本特許出願中に開示されているものと異なる長さを有するsgRNAの実施可能な開示はないと判断しました。 裏付け(サポート) 1990年特許法(Cth)の第40条(3)は、クレームは、明細書において開示される材料によって裏付けられなければならないとしています。この規定は、明細書によって開示される分野への技術的な貢献がクレームの広さを正当化することを求めています。 実施可能性と裏付けとの重複する要件を考慮して、判事は、クレームが実施を可能にする開示を提供することによって、第40条(2)(a)の要件を満たすかもしれないが第40条(3)の条件は満たさない事例があるかもしれないと注記しました。しかし、判事は、実施を可能にする開示がない発明へのクレームが、どのように裏付け要件を満たすことができるのか探るのは難しいと判断しました。そのような状況においてクレームによって定義される独占の範囲が当分野への技術的な貢献によって正当化され得ないためです。 本発明は、第40条(2)(a)の下で十分に実施可能ではないと判断して、判事は、クレームのすべてが第40条(3)の下で裏付けに欠けると判断しました。 新規性および進歩性 P1の出願日後ではあるがP3の出願日前に公開された3つの雑誌論文が新規性および進歩性の問題に関連していました。 Congら、「CRISPR/Casシステムを用いるマルチプレックスゲノム工学」(2013年)サイエンス339巻、819~823頁および補足資料; Maliら、「Cas9によるRNA-誘導ヒトゲノム工学」(2013年)サイエンス339巻、823~826頁および補足資料;および Wangら、「CRISPR/Cas-媒介ゲノム工学による複数遺伝子中の変異を有するマウスの一ステップ発生」(2013年)セル、153巻、910~918頁および補足情報。 ToolGenの出願にはP1によって確立された優先権主張日の資格がないと判断し、判事は、先行技術を考慮して、クレーム1~20は、新規性および進歩性に欠け、クレーム21は、進歩性に欠けると判断しました。 ToolGenには、クレームを補正する選択肢があります。しかし、被告は既にToolGenによって行われ得るいかなるそのような申請にも異議を申し立てると前もって示唆しています。 ToolGen Incorporated v Fisher (No 2)  FCA 794 (ToolGen FCA)の. ToolGen FCAの. ToolGen FCAの. ToolGen FCAの. ToolGen FCAの. 1990年特許法 (Cth) 第43条(2)および(2A); 1991年特許規則 (Cth) 規則2.12(4)および3.13A. ToolGen FCAの. …
オーストラリア連邦裁判所は、オーストラリアの重要なCRISPR特許紛争において判決を下し、ToolGen社の特許出願において土台となるCRISPR技術についてのクレームは何れも有効でないと判断しました。この訴訟は、第1の被告-グラント・フィッシャーという名の名目上の関係者-がToolGenの出願への特許権付与に対する異議申立に成功したとする特許庁長官の決定に端を発する上訴です。 特許出願 本件は、CRISPR/Casシステムおよび真核細胞中の標的核酸配列において部位特異的二本鎖切断を導入するそれらのシステムの使用に関するToolGenの出願に関するものでした。 この出願は、2013年10月23日に出願され、3件の仮出願からの優先権を主張しています。 2012年10月23日出願の米国特許仮出願第61/717,324号(「P1」); 2013年3月20日出願の米国特許仮出願第61/803,599号(「P2」);および 2013年6月20日出願の米国特許仮出願第61/837,481号(「P3」)。 この出願は、2つの独立クレームを含みます。 クレーム1. 真核細胞中の標的核酸配列において部位特異的な二本鎖切断を導入する際に使用されるII型クラスター化規則的間隔配置短鎖回文繰り返し(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)(CRISPR)/Casシステムを含み、前記CRISPR/Casシステムは、(i)核局在化配列を含むCas9ポリペプチドをコードする核酸と、(ii)標的核酸に交雑するガイドRNAをコードする核酸と、を含む組成物であって、前記ガイドRNAは、trans活性化crRNA(tracrRNA)部分に融合したCRISPR RNA(crRNA)部分を含むキメラガイドRNAである組成物。 クレーム10. 真核細胞中の標的核酸配列において部位特異的な二本鎖切断を導入する方法であって、前記真核細胞中にII型クラスター化規則的間隔配置短鎖回文繰り返し(CRISPR)/Casシステムを導入することを含み、前記CRISPR/Casシステムは、 (a)核局在化シグナルを含むCas9ポリペプチドをコードする核酸であって、前記核酸は、真核細胞中で発現するためにコドン最適化されている核酸と、 (b)前記標的核酸と交雑するガイドRNAをコードする核酸と、 を含み、前記ガイドRNAは、trans活性化crRNA(tracrRNA)部分と融合したCRISPR RNA(crRNA)部分を含むキメラガイドRNAであり、前記標的核酸配列は、前記crRNA部分に結合する第1の一本鎖と、トリヌクレオチドプロトスペーサ隣接モチーフ(PAM)を有する第2の一本鎖とを含み、前記Cas9ポリペプチドと前記ガイドRNAとは、前記真核細胞中でCas9/RNA複合体を形成し、それによって標的核酸配列において部位特異的な二本鎖切断が導入される方法。 有効性の根拠のいくつかは、両独立クレーム中の用語「ガイドRNAをコードする核酸」の意味に依拠していました。ToolGenは、これらの用語の広義の解釈を求め、それが真核細胞中でRNAに転写されるDNAと真核細胞中に導入される前にインビトロで転写されるRNAとの両方を含むと主張しました。 ToolGenは、動詞「コードする」は、(DNAからRNAへの転写のプロセスによって)ガイドRNAを製造するための配列を提供すること、ならびにガイドRNAがその機能を発揮することを可能にする配列を提供することの両方を意味することができると主張しました。 ToolGenは、クレーム19に多く依存し、クレーム19は、クレーム10とともに読まれると、ガイドRNAをコードする核酸は、インビトロ転写されたRNAであることを必要としました。 クレーム19. 前記ガイドRNAをコードする核酸は、インビトロ転写されたRNAである、クレーム10~16の何れか一項に記載の方法。 ニコラス判事は、これらの主張を却下し、クレーム10は、全体としての明細書の文脈で読まれると、このクレームが、核酸は、ガイドRNAをコードする方法に限定されること、およびガイドRNAは、真核細胞中の核酸から転写されることを示していると判断しました。 同判事は、用語「コードする」は、当業者によって理解されるその通常の意味を与えられるべきであると判断しました。 「私の意見では、用語「コードする」は、クレーム10において、転写および翻訳によるCas9ポリペプチドの製造と、細胞中の転写によるガイドRNAの製造と、を指すその通常の意味(すなわち分子生物学者によって理解される)で用いられている。本クレームにおいて参照される核酸は、ガイドRNAを製造するために細胞中で用いられる情報を提供する。クレーム10は、既存のガイドRNAが細胞に導入されるシステムを包含しない。」 この解釈の結果、クレーム19は、妥当にクレーム10とともに読まれることはできず、明確性に欠けると判断されました。 優先権主張日 本上訴の審理は、これらのクレームにP1を基礎とする優先権の資格がなければ、P3の出願によって成立した2013年6月20日が適用されるという前提で行なわれました。P2は、単に制限断片長多形解析においてRNA誘導エンドヌクレアーゼを用いる方法に関係し、本特許出願中のクレームの何れかに記載の発明を開示しているとはみなされませんでした。 P1は、比較的短い文献であり、いかなるクレームも含まず、雑誌記事のようなものに「発明の概要」という追加の表題をもつ段落が加えられたものでした。P1に記載されたCRISPR/Cas9システムは、ストレプトコッカス・ピロジェネスから誘導され、インビトロ製造されたtracrRNAと融合したcrRNA部分を含む単一キメラガイドRNAを用いていました。P1は、ガイドRNAをインビトロ転写するために細胞中にDNA(またはウィルスRNA)が導入されるシステムを開示していませんでした。P1は、また、他のどの細菌種がII型CRISPR/CAsシステムを有するか、またはそのような種について内因性crRNAおよびtracrRNA配列をどのように決定するかも記載していませんでした。 そこで、問題は、P1の開示がToolGenの出願中のクレームの何れかについて優先権主張日を証明するために十分であるかどうかということでした。 オーストラリアにおける優先権主張日の検証は、開示の十分性についての検証と同じです。つまり、クレームされる発明を、当業者によってその発明が実施されるために十分に明確であり、かつ十分に完全であるように、先願が開示しているという前提で、各クレームには先願からの優先権を主張する資格があります。 「ガイドRNAをコードする核酸」という文言に関して、判事は、優先権主張日に周知であった標準的な技法を用いてガイドRNAをインビトロで製造するためにガイドRNAをコードするプラスミドを用いることは、技術常識とともにP1中の情報を有す分子生物学者にとって難しい業務ではないことを認めました。判事は、また、当業者にとって、細胞中でガイドRNAを発生させる手段としてガイドRNAをコードするプラスミドDNAを用いることができることは、自明であることを認めました。 しかしながら、P1は、クレームにおいて定義されるガイドRNAをコードするDNA(またはウィルスRNA)の使用を開示せず、インビトロで製造され、次に細胞中に導入されるガイドRNAを開示しました。判事は、P1は、ToolGenの出願においてクレームされたものと同じ発明を開示せず、したがってクレームの何れにもP1からの優先権を主張する資格がないと判断しました。 「クレーム1および10(およびクレーム19を除く従属クレーム)は、クレームのガイドRNAが核酸(DNAまたはウィルスRNA)の形で細胞に導入され、次いで真核細胞中でガイドRNAをコードする発明を目的としている。P1は、明示的にも非明示的にも何れかのそのようなシステムを開示していない。したがってそれらのクレームに、P1を根拠とする優先権の資格がない。」 次の問題は、S.ピロジェネス以外の細菌種から誘導されるCas9ポリペプチドを用いてDNAを切断するためのシステムを、クレームされる発明が当業者によって実施されるために十分に明確であり、かつ十分に完全であるように、P1が開示しているかどうかでした。P1がS.ピロジェネスから誘導されるCRISPR/Cas9システムを開示したというのが当事者間の共通認識でした。ニコラス判事は、P1が一般的な意味で他の細菌種から誘導されるCas9タンパク質の存在とそれらが真核細胞中のDNA切断を媒介するために用いられ得るという可能性とを開示していることを認めました。 しかし、他の細菌種から誘導されるCas9タンパク質を用いる可能性は、それ ― 単なる可能性 ― として記載されただけでした。P1は、この可能性についてのそれ以上のいかなる考察も含まず、他の細菌種から誘導されるすべてのまたはいくつかのII型Cas9タンパク質が真核細胞中のDNA切断を媒介するために特定のPAMとともに機能すると合理的に予測することができると推論され得るいかなる証拠も注釈も提示しませんでした。 さらに、S.ピロジェネスがII型CRISPR/Casシステムを有する他の細菌種の代表である可能性が高いこと、またはS.ピロジェネス由来成分を用いた実験の結果が他の細菌種から誘導されるCas9ポリペプチドも真核細胞中のDNAを切断することができると推測するための何れかの合理的な科学的根拠を提供すること、を示すものはP1において何も開示されませんでした。 その文脈において、証拠は、S.ピロジェネス以外の何れかの特定の細菌種から誘導されるCRISPR/Cas9システムが真核細胞中で機能するか否かについて相当な不確かさがあること、および真核細胞中のこのシステムの使用を検証するためにかなりの実験研究が行われる必要があることを示しました。 判事は、優先権主張日において、当業者(またはチーム)がS.ピロジェネス以外の細菌種を用いてクレーム1および10の発明を実施するために行う必要がある研究は、かなりの研究プロジェクトを含むと判断しました。 「私の意見では、当業者のチームは、長期の研究および実験を行う必要があり、途上においてかなりの困難に逢う可能性が非常に高い。この研究の多くは非日常業務的であり、その実行状況においてP1は意味のある指針または方向および成功の保証は提供しなかった。」 「優先権主張日現在、真核細胞中のゲノム編集を専門とする分子生物学者と原核生物中のCRISPR/Casシステムにおける専門知識を有する微生物学者とを含む当業者チームが、過度の負担なしでS.ピロジェネス以外の細菌種を用いてクレーム1の組成物を作ることまたはクレーム10の方法を実施することをP1は可能にしていなかったと確信する。」 ガイドRNA自体に関して、P1は、tracrRNA部分に融合したcrRNA部分を含む単一キメラガイドRNAを、それがどのようにして設計されたかまたはその長さがどのように変えられる可能性があるかについていかなる情報も提供せずに開示しました。 ニコラス判事は、P1に開示されている単一ガイドRNAを再設計することまたはS.ピロジェネス以外の細菌種を用いて単一ガイドRNAを設計および構築することは、当業者にとって過度の負担であるとみなしました。 判事は、P1は、クレームされた発明を、発明が当業者によって実施されるために十分に明確かつ十分に完全であるように開示することができていないと判断しました。クレームのどれにもP1からの優先権を主張する資格がありませんでした。 実施可能性 1990年特許法(Cth)の第40条(2)(a)は、完全な明細書は、発明が当業者によって実施されるために十分に明確であり、かつ十分に完全であるように発明を開示しなければならないとしています。実施可能性のための要件は、他の裁判所管轄区域、特にヨーロッパおよび英国において適用可能なものに似ています。 被告は、本特許出願が、P1とは異なり、「ガイドRNAをコードする核酸」を含む発明を開示していることを認め、クレームの発明が、この特定の点において、十分に実施可能でないと主張しませんでした。 しかしながら、本特許出願中に開示されている実施例のどれも、S.ピロジェネス以外のいかなる種からのCRISPR/Cas9成分も使用しませんでした。被告は、本特許出願は、S.ピロジェネス以外の細菌種から誘導されるシステムを含む発明を過度の負担なしでは実施可能にしないと申し立てました。判事は、P1に関して示された理由によりその申し立てを基本的に認めました。 同様に、ガイドRNAに関し、そのtracrRNA成分を含むsgRNAの設計に関してP1の開示と本特許出願との間に実質的な差はないとみなされました。よって、判事は、本特許出願には、本特許出願中に開示されているものと異なる長さを有するsgRNAの実施可能な開示はないと判断しました。 裏付け(サポート) 1990年特許法(Cth)の第40条(3)は、クレームは、明細書において開示される材料によって裏付けられなければならないとしています。この規定は、明細書によって開示される分野への技術的な貢献がクレームの広さを正当化することを求めています。 実施可能性と裏付けとの重複する要件を考慮して、判事は、クレームが実施を可能にする開示を提供することによって、第40条(2)(a)の要件を満たすかもしれないが第40条(3)の条件は満たさない事例があるかもしれないと注記しました。しかし、判事は、実施を可能にする開示がない発明へのクレームが、どのように裏付け要件を満たすことができるのか探るのは難しいと判断しました。そのような状況においてクレームによって定義される独占の範囲が当分野への技術的な貢献によって正当化され得ないためです。 本発明は、第40条(2)(a)の下で十分に実施可能ではないと判断して、判事は、クレームのすべてが第40条(3)の下で裏付けに欠けると判断しました。 新規性および進歩性 P1の出願日後ではあるがP3の出願日前に公開された3つの雑誌論文が新規性および進歩性の問題に関連していました。 Congら、「CRISPR/Casシステムを用いるマルチプレックスゲノム工学」(2013年)サイエンス339巻、819~823頁および補足資料; Maliら、「Cas9によるRNA-誘導ヒトゲノム工学」(2013年)サイエンス339巻、823~826頁および補足資料;および Wangら、「CRISPR/Cas-媒介ゲノム工学による複数遺伝子中の変異を有するマウスの一ステップ発生」(2013年)セル、153巻、910~918頁および補足情報。 ToolGenの出願にはP1によって確立された優先権主張日の資格がないと判断し、判事は、先行技術を考慮して、クレーム1~20は、新規性および進歩性に欠け、クレーム21は、進歩性に欠けると判断しました。 ToolGenには、クレームを補正する選択肢があります。しかし、被告は既にToolGenによって行われ得るいかなるそのような申請にも異議を申し立てると前もって示唆しています。 ToolGen Incorporated v Fisher (No 2)  FCA 794 (ToolGen FCA)の. ToolGen FCAの. ToolGen…
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ケーススタディ:中国特許実務における裏付け問題に対処した、後出しデータの成功例
中国は以前、特許出願の審査時に補足データを後出し提出することについて、他の主要特許システムと比較してもより厳しい基準を適用していました。しかし、米国政府と中華人民共和国との最近の経済および貿易協定の調印により、中国国立知的財産管理局(CNIPA)は、特許審査のガイドラインに数回の改訂を行いました。その結果、現行の後出しデータ審査基準は、今は米国特許商標庁(USPTO)および欧州特許庁(EPO)との一貫性が高まり、グローバルな特許実務の調和において顕著に前進しました。 しかし、この前進は、進歩性および十分な開示(実施可能性など)に対処することを目的とする後出しデータに結び付けられています。中国国内実務において、裏付けに関する問題を扱う特定の規定はありません。後出しデータを用いて裏付けの問題に対処するのは困難であるというのが広く受け入れられている見方です。しかし、これにかかわらず、困難であっても必要ならば試してみることをお勧めします。ここで最近の成功例の概略をまとめます。 出願例は、PCT出願の中国国内移行出願であり、そこでは図面に示されていた化学構造に基づいて一般化された一般式を有する化合物の保護が求められていました。中国の審査官は、これらの化合物が実施例において略語で特定されているだけであり、それらの化学的同一性または化学構造を特定していないことを理由として裏付けに関する拒絶理由(すなわち、明細書によって裏付けられていない)を取り上げました。 この問題に対処するために、出願人は、図面に示されていた特定の化合物と実施例中で用いた略語との間の対応関係を明確にすることを目的として、出願例の優先権主張日後に発明者によって公開された論文を提出しました。しかし、この論文は、優先権主張日後に公開され、直接的な対応情報が記録として含まれていなかったため、審査官には受け入れられませんでした。 ここでこの出願例は行き詰まったように見えますが、実施例において略語が用いられたという理由だけで許可されないのは出願人に対して不当であると弊所では考えました。 よって、弊所は、さらに行動を起こしました。提出された論文が本出願と同じ主題を考察し同じ結果を得たこと、そして実施例中で用いた略語が図面に示したそれらの特定の化合物に実際に対応すること、を確証するための宣言書を提供するように出願人に要請しました。同時に、弊所は本出願によってなされる技術的貢献について審査官と議論しました。本出願において行なわれ、以前に提出された論文にも記録された広範な実験研究によって出願人が先行技術に多大な技術的貢献をしている、すなわち、癌治療に有効である有効化合物を提供していることを否定することはできません。特に中国特許法の第1条によって定められる「発明-創造を奨励する」精神を考慮すれば、そのような技術的貢献は、無視・無報酬であってはなりません。その後の考慮および審査官のチーム内の考察の末、審査官はこの出願例に特許を付与しました。 上記の例の中間手続から、後出しデータは特定の状況において、中国国内実務においても、しっかりした追加の裏付け分析と共に利用されれば裏付けの拒絶に対処するために役立つことが分ります。突き詰めていくと、特許システムの本質は、特許権を求める技術解決策開示と、出願人による技術的貢献と見合った特許権保護範囲との交換を含み、これは常に考慮されるべきです。 同じような問題に直面されている場合、弊所の専門家チームにご連絡いただければどのようにお手伝いできるかを提案させていただきます。 この記事は最初に2023年7月13日に英語で公開されました 弊所では一般的なお問い合わせや見積もりの際にご利用いただける日本語担当窓口を用意致しております。 日本語のお問い合わせを直接 JapaneseDesk@spruson.com 宛にお送りください。技術系のバックグラウンドを持つ日本語窓口担当者が迅速にお返事致します。 出願のご指示等につきましては、通常のメールアドレスに英語でお送りいただけると幸いです。
中国は以前、特許出願の審査時に補足データを後出し提出することについて、他の主要特許システムと比較してもより厳しい基準を適用していました。しかし、米国政府と中華人民共和国との最近の経済および貿易協定の調印により、中国国立知的財産管理局(CNIPA)は、特許審査のガイドラインに数回の改訂を行いました。その結果、現行の後出しデータ審査基準は、今は米国特許商標庁(USPTO)および欧州特許庁(EPO)との一貫性が高まり、グローバルな特許実務の調和において顕著に前進しました。 しかし、この前進は、進歩性および十分な開示(実施可能性など)に対処することを目的とする後出しデータに結び付けられています。中国国内実務において、裏付けに関する問題を扱う特定の規定はありません。後出しデータを用いて裏付けの問題に対処するのは困難であるというのが広く受け入れられている見方です。しかし、これにかかわらず、困難であっても必要ならば試してみることをお勧めします。ここで最近の成功例の概略をまとめます。 出願例は、PCT出願の中国国内移行出願であり、そこでは図面に示されていた化学構造に基づいて一般化された一般式を有する化合物の保護が求められていました。中国の審査官は、これらの化合物が実施例において略語で特定されているだけであり、それらの化学的同一性または化学構造を特定していないことを理由として裏付けに関する拒絶理由(すなわち、明細書によって裏付けられていない)を取り上げました。 この問題に対処するために、出願人は、図面に示されていた特定の化合物と実施例中で用いた略語との間の対応関係を明確にすることを目的として、出願例の優先権主張日後に発明者によって公開された論文を提出しました。しかし、この論文は、優先権主張日後に公開され、直接的な対応情報が記録として含まれていなかったため、審査官には受け入れられませんでした。 ここでこの出願例は行き詰まったように見えますが、実施例において略語が用いられたという理由だけで許可されないのは出願人に対して不当であると弊所では考えました。 よって、弊所は、さらに行動を起こしました。提出された論文が本出願と同じ主題を考察し同じ結果を得たこと、そして実施例中で用いた略語が図面に示したそれらの特定の化合物に実際に対応すること、を確証するための宣言書を提供するように出願人に要請しました。同時に、弊所は本出願によってなされる技術的貢献について審査官と議論しました。本出願において行なわれ、以前に提出された論文にも記録された広範な実験研究によって出願人が先行技術に多大な技術的貢献をしている、すなわち、癌治療に有効である有効化合物を提供していることを否定することはできません。特に中国特許法の第1条によって定められる「発明-創造を奨励する」精神を考慮すれば、そのような技術的貢献は、無視・無報酬であってはなりません。その後の考慮および審査官のチーム内の考察の末、審査官はこの出願例に特許を付与しました。 上記の例の中間手続から、後出しデータは特定の状況において、中国国内実務においても、しっかりした追加の裏付け分析と共に利用されれば裏付けの拒絶に対処するために役立つことが分ります。突き詰めていくと、特許システムの本質は、特許権を求める技術解決策開示と、出願人による技術的貢献と見合った特許権保護範囲との交換を含み、これは常に考慮されるべきです。 同じような問題に直面されている場合、弊所の専門家チームにご連絡いただければどのようにお手伝いできるかを提案させていただきます。 この記事は最初に2023年7月13日に英語で公開されました 弊所では一般的なお問い合わせや見積もりの際にご利用いただける日本語担当窓口を用意致しております。 日本語のお問い合わせを直接 JapaneseDesk@spruson.com 宛にお送りください。技術系のバックグラウンドを持つ日本語窓口担当者が迅速にお返事致します。 出願のご指示等につきましては、通常のメールアドレスに英語でお送りいただけると幸いです。
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