オーストラリアは米国と「調和」せず:オーストラリアは自然現象を含む診断方法の特許性を支持
オーストラリア連邦裁判所は、Ariosa Diagnostics, Inc v Sequenom, Inc (Sequenom 2021).1 の訴訟事件で、自然現象(ヌクレオチドを含む)の実用的な適用がある診断方法の特許を許可する決定を是認しました。連邦裁判所は、胎児の染色体異常を検知するAriosa社のハーモニーテストが、非侵襲的な出生前診断方法に関するSequenom社のオーストラリア特許第727919号を侵害しているという一審裁判官の所見を是認しました。
オーストラリア連邦裁判所は、Ariosa Diagnostics, Inc v Sequenom, Inc (Sequenom 2021).1 の訴訟事件で、自然現象(ヌクレオチドを含む)の実用的な適用がある診断方法の特許を許可する決定を是認しました。連邦裁判所は、胎児の染色体異常を検知するAriosa社のハーモニーテストが、非侵襲的な出生前診断方法に関するSequenom社のオーストラリア特許第727919号を侵害しているという一審裁判官の所見を是認しました。
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最終期限迫る:イノベーション特許は間もなく終了 見逃し注意
前回の記事で述べたように、オーストラリアの2層目の特許システムであるイノベーション特許は2021年8月25日から段階的に廃止されます。出願日がそれ以降の出願は、イノベーション特許として付与されることはなく、また代替となる2層目の特許システムも現時点ではありません。 イノベーション特許出願を検討している場合、今後の重要になる日付は、以下のとおりです。 2021年8月25日以前:イノベーション特許は、第一国出願として出願することができます(既存の制約が適用されます)。2021年8月26日以降:イノベーション特許は、有効出願日が2021年8月25日またはそれ以前である場合にのみ付与され得ます。既存の通常特許出願またはオーストラリアを指定するPCT出願をイノベーション特許に変更することができ、有効出願日が2021年8月25日またはそれ以前である限り、分割イノベーション特許を出願することもできます。 イノベーション特許とは何か。 イノベーション特許システムとは、オーストラリアにおける2層目の特許システムであり、2000年に導入されたものです。その狙いは、既存の製品の漸進的な改善など、より低次な発明を保護するために費用効果の高い特許オプションを国内の中小企業に提供することでした。このような漸進的な変更は、製造や製剤科学などの業界で発生することがあります。例えば、既存の製品よりも商業的に有利な製品の開発が、標準的な特許保護を取得するために必要な進歩性の閾値を満たさない場合があるからです。 イノベーション特許は、特許性に関する閾値を「革新性」に下げることで、このギャップを埋めるものです。革新性においては、たとえその変更が明白であっても、発明の機能に「実体的な」寄与、すなわち、些細ではない寄与をすることのみが要求されます(例えば、安定性を向上させるために製剤中の溶媒を置き換える)。また、イノベーション特許は、実体審査なしで付与されますが、審査後に審査証明されて初めて実施することができます。しかしながら、その代償として、保護される期間が、通常特許の場合では、20年であるのに対し、イノベーション特許では、わずか8年となります。 しかしながら、このシステムは一部の中小企業には意図どおりに使用されてきたとはいえ、訴訟ツールとしてオーストラリアで(法的強制力はないが)「付与された」特許権を取得するために、大手外国企業やその他外国の出願人によって使用されています。したがって、中小企業がイノベーション特許システムを維持するように、あるいは修正するようにと、多くの運動を行っているにもかかわらず、システムが意図した効果を発揮していないことは間違いないため、段階的に廃止されることになります。 遅すぎることはない 残された期間は少なくなってきましたが、イノベーション特許を出願するのに遅すぎることはありません。上述のように、イノベーション特許は、変更が新規であり、発明を実施するにあたって、真の寄与、あるいは実体的な寄与をしている限り、既知の製品に対する漸進的な変更に適しています。 なお、連邦政府には、代替の第二の特許システムをすぐに提供する予定はありません。2021年8月26日以降、漸進的改善に対する特許保護は、より高い進歩性の閾値を満たす必要があるため、取得がより困難になる可能性があります。 上述の基準を満たす発明を有していると思われる場合は、ご連絡いただければ、イノベーション特許制度を利用するための選択肢や適性について、今のうちに検討のお手伝いをさせていただきます。 この記事は最初に2020年7月6日に英語で公開されました 弊所では一般的なお問い合わせや見積もりの際にご利用いただける日本語担当窓口を用意致しております。 日本語のお問い合わせを直接 JapaneseDesk@spruson.com 宛にお送りください。技術系のバックグラウンドを持つ日本語窓口担当者が迅速にお返事致します。 出願のご指示等につきましては、通常のメールアドレスに英語でお送りいただけると幸いです。
前回の記事で述べたように、オーストラリアの2層目の特許システムであるイノベーション特許は2021年8月25日から段階的に廃止されます。出願日がそれ以降の出願は、イノベーション特許として付与されることはなく、また代替となる2層目の特許システムも現時点ではありません。 イノベーション特許出願を検討している場合、今後の重要になる日付は、以下のとおりです。 2021年8月25日以前:イノベーション特許は、第一国出願として出願することができます(既存の制約が適用されます)。2021年8月26日以降:イノベーション特許は、有効出願日が2021年8月25日またはそれ以前である場合にのみ付与され得ます。既存の通常特許出願またはオーストラリアを指定するPCT出願をイノベーション特許に変更することができ、有効出願日が2021年8月25日またはそれ以前である限り、分割イノベーション特許を出願することもできます。 イノベーション特許とは何か。 イノベーション特許システムとは、オーストラリアにおける2層目の特許システムであり、2000年に導入されたものです。その狙いは、既存の製品の漸進的な改善など、より低次な発明を保護するために費用効果の高い特許オプションを国内の中小企業に提供することでした。このような漸進的な変更は、製造や製剤科学などの業界で発生することがあります。例えば、既存の製品よりも商業的に有利な製品の開発が、標準的な特許保護を取得するために必要な進歩性の閾値を満たさない場合があるからです。 イノベーション特許は、特許性に関する閾値を「革新性」に下げることで、このギャップを埋めるものです。革新性においては、たとえその変更が明白であっても、発明の機能に「実体的な」寄与、すなわち、些細ではない寄与をすることのみが要求されます(例えば、安定性を向上させるために製剤中の溶媒を置き換える)。また、イノベーション特許は、実体審査なしで付与されますが、審査後に審査証明されて初めて実施することができます。しかしながら、その代償として、保護される期間が、通常特許の場合では、20年であるのに対し、イノベーション特許では、わずか8年となります。 しかしながら、このシステムは一部の中小企業には意図どおりに使用されてきたとはいえ、訴訟ツールとしてオーストラリアで(法的強制力はないが)「付与された」特許権を取得するために、大手外国企業やその他外国の出願人によって使用されています。したがって、中小企業がイノベーション特許システムを維持するように、あるいは修正するようにと、多くの運動を行っているにもかかわらず、システムが意図した効果を発揮していないことは間違いないため、段階的に廃止されることになります。 遅すぎることはない 残された期間は少なくなってきましたが、イノベーション特許を出願するのに遅すぎることはありません。上述のように、イノベーション特許は、変更が新規であり、発明を実施するにあたって、真の寄与、あるいは実体的な寄与をしている限り、既知の製品に対する漸進的な変更に適しています。 なお、連邦政府には、代替の第二の特許システムをすぐに提供する予定はありません。2021年8月26日以降、漸進的改善に対する特許保護は、より高い進歩性の閾値を満たす必要があるため、取得がより困難になる可能性があります。 上述の基準を満たす発明を有していると思われる場合は、ご連絡いただければ、イノベーション特許制度を利用するための選択肢や適性について、今のうちに検討のお手伝いをさせていただきます。 この記事は最初に2020年7月6日に英語で公開されました 弊所では一般的なお問い合わせや見積もりの際にご利用いただける日本語担当窓口を用意致しております。 日本語のお問い合わせを直接 JapaneseDesk@spruson.com 宛にお送りください。技術系のバックグラウンドを持つ日本語窓口担当者が迅速にお返事致します。 出願のご指示等につきましては、通常のメールアドレスに英語でお送りいただけると幸いです。
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シンガポールにおけるIP発展のための10年計画
2021年4月26日、シンガポール政府は、無形資産・知財投資により企業にとってグローバルハブとしてのシンガポールの立場を維持するための、継続的かつ将来に向けた取り組みを示す計画を発表しました。
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オーストラリアの特許実務に関するメモ:結晶多形体(crystalline polymorphs)に対するクレームの審査実務に関する最新の変更点
オーストラリア特許庁は最近、結晶多形体(crystalline polymorphs)に対するクレームのサポート要件に関して、審査実務を変更したようです。この実務上の変更を説明する最新情報はまだ審査マニュアルには記載されていないので、現時点では非公式なものであると考えられます。
オーストラリア特許庁は最近、結晶多形体(crystalline polymorphs)に対するクレームのサポート要件に関して、審査実務を変更したようです。この実務上の変更を説明する最新情報はまだ審査マニュアルには記載されていないので、現時点では非公式なものであると考えられます。
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中国・EUの新地理的表示(GI)保護協定が2021年3月1日発効
2021年3月1日、中国と欧州連合(EU)の間で、中国および欧州の200品目の地理的表示を保護する新しい協定が発効しました。
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オーストラリアとニュージーランドにおける特許実施義務および関連する強制実施権に関する規定
特許実施義務 多くの管轄区域では、特許が付与された国内で特許発明を実施していることを実証する要件を設けています。これは「特許実施義務」と呼ばれます。特許法のこの要素は世界全体で大きく異なり、要件自体もそうですが、付与後いつまでに実施する必要があるか、発明の実施とみなされる範囲、実施義務を満たすために必要な証拠の量などにおいて違いがみられます。
特許実施義務 多くの管轄区域では、特許が付与された国内で特許発明を実施していることを実証する要件を設けています。これは「特許実施義務」と呼ばれます。特許法のこの要素は世界全体で大きく異なり、要件自体もそうですが、付与後いつまでに実施する必要があるか、発明の実施とみなされる範囲、実施義務を満たすために必要な証拠の量などにおいて違いがみられます。
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オーストラリアとニュージーランドにおける特許超過クレーム料金の支払いについて
はじめに 2020年に、IPオーストラリアとニュージーランド知的財産庁(「IPONZ」)の両方が改定料金表を導入し、超過クレーム料金の支払いに影響を及ぼす新しい料金体系が設定されました。この記事では、これらの変更点と、両管轄区域で最適なクレーム数を決定する際に考慮すべきその他の要因について検討します。
はじめに 2020年に、IPオーストラリアとニュージーランド知的財産庁(「IPONZ」)の両方が改定料金表を導入し、超過クレーム料金の支払いに影響を及ぼす新しい料金体系が設定されました。この記事では、これらの変更点と、両管轄区域で最適なクレーム数を決定する際に考慮すべきその他の要因について検討します。
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意匠のグレースピリオドの今後の展望
2003年のオーストラリア意匠法に対する変更案で、12か月のグレースピリオドを導入 2020年意匠法改正法案(知的財産対応諮問委員会)(Designs Amendment (Advisory Council on Intellectual Property Response) Bill 2020)はまず2020年12月2日に上院に提出され、その後2021年2月4日に下院に提出されました。この法案は、2003年オーストラリア意匠法への変更案を通じて、オーストラリアの登録意匠制度を改善することを目的とした変更案の実現を図るものです。
2003年のオーストラリア意匠法に対する変更案で、12か月のグレースピリオドを導入 2020年意匠法改正法案(知的財産対応諮問委員会)(Designs Amendment (Advisory Council on Intellectual Property Response) Bill 2020)はまず2020年12月2日に上院に提出され、その後2021年2月4日に下院に提出されました。この法案は、2003年オーストラリア意匠法への変更案を通じて、オーストラリアの登録意匠制度を改善することを目的とした変更案の実現を図るものです。
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インドネシア最新情報:「クラッシュ」プログラムによる未納の特許年金の清算
簡単に背景を説明しますと、インドネシアの旧特許法(2016年8月26日以前)では、年金は納付期限から最長3年間納付が可能でした。連続した3年間の間に年金の納付がされなかった場合、特許は無効になりますが、特許権者は引き続きその3年間に発生した未納付の年金の納付義務を負う必要がありました。これは、特許権者がこの期間中にも法律的には特許権者に与えられた特許保護から利益を得ているという考え方に立ったものです(これは「ポストプロテクションシステム」と呼ばれます)。
簡単に背景を説明しますと、インドネシアの旧特許法(2016年8月26日以前)では、年金は納付期限から最長3年間納付が可能でした。連続した3年間の間に年金の納付がされなかった場合、特許は無効になりますが、特許権者は引き続きその3年間に発生した未納付の年金の納付義務を負う必要がありました。これは、特許権者がこの期間中にも法律的には特許権者に与えられた特許保護から利益を得ているという考え方に立ったものです(これは「ポストプロテクションシステム」と呼ばれます)。
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シンガポールの実体審査を扱う際の秘訣
一部の外国の特許庁での実体審査の結果が基本的に認められるシンガポールの特許審査の「外国ルート」が、2020年1月1日より段階的に廃止されています。国内での直接出願(第一国出願、分割出願またはパリルート出願)に関しては2020年1月1日より外国ルートがすでに廃止されています。
一部の外国の特許庁での実体審査の結果が基本的に認められるシンガポールの特許審査の「外国ルート」が、2020年1月1日より段階的に廃止されています。国内での直接出願(第一国出願、分割出願またはパリルート出願)に関しては2020年1月1日より外国ルートがすでに廃止されています。
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パプアニューギニアの特許手続き
弊所の業務の大半はオーストラリアとニュージーランドで発生しますが、広域南太平洋地域全体でも重要な業務があります。最近掲載したフィジーの最新情報に続いて、この記事ではオーストラリアと密接な関係がある国、パプアニューギニアに焦点を当てます。
弊所の業務の大半はオーストラリアとニュージーランドで発生しますが、広域南太平洋地域全体でも重要な業務があります。最近掲載したフィジーの最新情報に続いて、この記事ではオーストラリアと密接な関係がある国、パプアニューギニアに焦点を当てます。
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