シンガポール|パテントリンケージ制度の更新で申告要件が明確化

この記事は最初に2024年10月29日に英語で公開されました

シンガポールの保健用製品(治療用製品)規則の最近の更新により、多くの場合に重荷となっていた、特許に関連する要素を含む治療用製品の登録の側面が明確化されました。

シンガポールのパテントリンケージ制度は、特許が付与された要素を利用する治療用製品を登録しようとする申請者は、健康科学局(HSA: Health Science Authority)に申告を行わなければならないと求めています。

HSAへのこの申告には、当該治療用製品に関する特許および特許権者の情報を含む必要があります。申請者が特許権者でない場合、HSAは申請者が特許権者への通知を行うよう求めます。

その場合、特許権者はシンガポール裁判所に差止命令を申請、あるいは当該特許が有効であり、当該治療用製品の登録がなされようとする行為の遂行によって侵害されるという宣誓を行うことによって、販売承認プロセスを最長30か月間保留させることができます。この30か月の期間は、裁判所への特許権者の申請の理非または結果に関わりなく適用可能です。

法律は単に「当該治療用製品に関する」特許の申告を求めているため、過去においてはどのタイプの特許が申告されるべきかの指針がありませんでした。 したがって、一般的な慣行は、販売される治療用製品の活性成分に関連があるあらゆる特許を申告することでした。

ザイファスメディカル社(Zyfas Medical Co)対ミレニアムファーマシューティカルズ社(Millennium Pharmaceuticals, Inc.) [2020] SGCA 84の事件において、シンガポール控訴裁判所は、治療用製品の製造方法を目的とする特許は、「その製品中の活性成分は当該特許を受けた製造方法を用いて製造され得たであろう」から「当該治療用製品に関する」特許とみなされるという判決をくだしました。したがって、製造方法を目的とする特許は申告される必要があります。

保健用製品(治療用製品)規則への最新の改正は、2024年8月1日に発効し、治療用製品の販売承認の申請者によって申告されるべき特許について明確性を提供しました。

申告すべき特許

治療用製品の販売承認を得ようとするとき、特許が以下の何れか一つを含む場合、特許は申告されるべきであると改正規則に明記されています。

  1. その治療用製品の活性成分についてのクレーム;
  2. その治療用製品の製剤または組成物についてのクレーム;または
  3. 特定の治療的使用、予防的使用、緩和的使用または診断的使用のためのその治療用製品の製造における活性成分の使用についてのクレーム。

上記ポイント(iii)は、スイスタイプ医薬用途クレームの文言を指します。シンガポールでは、そのようなクレーム方式は、一般に、製造プロセスそのものではなく治療用製品の第2もしくは後続の医薬用途を定義するために用いられます。審査ガイドライン中に以下のように明記されています。

『通常、「についての」は、「に適する」と解釈される。しかし、「スイスタイプ」クレームにおいて、「についての」は、特定される指定の処置に「適当であり、かつ意図される」と解釈される。」

申告が必要でない特許

さらに、特許が次のクレームだけを含む特許である場合、申告は必要ないと明記されています。

  1. 製造方法を目的とする
  2. 包装に関する
  3. 代謝物に関する、または
  4. 中間体に関する

明確性のために、特許は、上記ポイント(i)~(iii)に挙げられているクレームを1つ含む限り、申告される必要があります(一方、残りのクレームは上記ポイント(a)から(d)に挙げられているものを目的とすることができます)。

弊所がお手伝いできること

当該規則へのこれらの改正は、製造方法、包装、代謝産物または中間体だけに関する特許に基づいて、販売承認を求める申請者の申請を30か月保留させる特許権者の権利を効果的に取り除きました。

したがって、特許権者としては、販売承認プロセスに対してこの30か月の保留期間を依然として利用することができることを確実にするため、上記の更新を考慮しつつクレームをシンガポール出願に向けて調整することが重要です。

シンガポールの特許制度ならびに適用可能な寄与因子のすべてを360度くまなく展望できる弊所のチームは、現地に向けたお客様の特許戦略においてお手伝いおよびご案内をすることができます。お客様の具体的な状況と考慮事項に基づく助言を行いますのでご遠慮なくご連絡ください。


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